米国CPIとコア物価の読み方:日本・韓国・台湾は何を除くのか
同じ「コア物価」でも、国・地域によって除く品目は違います。2026年9月の米国コアCPI(2.6%)と日本のコアCPI(2.1%)をそのまま比べると、定義の違いまで混ざります。日米韓台のコア指標の定義と、10月分の公表日程を表にまとめました。
日本でおなじみの「コアCPI」には、エネルギー価格がそのまま含まれています。米国のコアCPIは、外食まで除きます。韓国の「農産物・石油類除く指数」が定義上除くエネルギーは石油類だけで、電気・ガス料金は残ります。2026年9月分のコア指標は、4カ国・地域とも2.1~2.8%の範囲にあります。米労働統計局(BLS)、総務省統計局、韓国の国家データ処(旧・統計庁)、台湾の行政院主計総処の発表です。除く品目が違うため、並べて比べると物価の差と定義の差が混ざってしまいます。
この記事は2026年10月31日時点の情報です。各国・地域の10月分の物価が出そろう2026年11月に数値を更新します。韓国の基準年改定(12月18日に公表予定)の際にも更新し、その後は四半期ごとに見直します。
まず定義を1つの表にまとめました。①②は、1つの国がコア系の指標を2つ公表している場合に付けた番号です。コア物価という考え方自体が初めての方は、金利・為替・物価の基礎ガイドから読むのもおすすめです。
表1. 国・地域別のコア指標の定義
| 項目 | 米国 | 日本 | 韓国 | 台湾 |
|---|---|---|---|---|
| 統計機関 | 米労働統計局(BLS) | 総務省統計局 | 国家データ処 | 行政院主計総処 |
| コア指標 | 食料及びエネルギーを除く総合(All items less food and energy) | ① 生鮮食品を除く総合(通称コア) ② 生鮮食品及びエネルギーを除く総合(通称コアコア) | ① 農産物・石油類除く指数 ② 食料品・エネルギー除く指数 | 核心CPI(コアCPI) |
| 除くもの | 食料(家庭内食料+外食)、エネルギー | ① 生鮮魚介・生鮮野菜・生鮮果物 ② ①+エネルギー | ① 穀物以外の農産物、石油類 ② ①+水産物・畜産物・エネルギー | 野菜・果物、続いてエネルギー |
| 注意点 | 外食も除かれる | ①はエネルギー・肉類を含む | ①は穀物・電気・ガスを含む(定義上) | 野菜・果物以外の食品は含む |
| 中央銀行の目標指標 | PCE総合で2% | 消費者物価の前年比2% | 消費者物価の前年比2% | 数値目標の文言なし(物価安定の責務、2026年9月17日の理事会決議文ベース) |
| 基準年 | 1982-84年=100(大半の系列) | 2025年=100 | 2020年=100(改定作業中) | 2021年=100 |
国・地域ごとの違いは、「除くもの」と「注意点」の2行に表れます。数値と次回の公表日程は時点によって変わる情報なので、表2に分けました。なお、ヘッドラインとは全品目を含む総合指数のことです。
表2. 2026年9月分の数値と10月分の公表日程
| 項目 | 米国 | 日本 | 韓国 | 台湾 |
|---|---|---|---|---|
| ヘッドライン(前年比) | 3.7% | 2.1% | 2.9% | 2.73% |
| コア(前年比) | 2.6% | ① 2.1% ② 2.4% | ① 2.7% ② 2.8% | 2.52% |
| 10月分の公表(日本時間) | 11月10日(火)22:30 | 11月20日(金)8:30 | 11月3日(火)、公表計画に時刻の記載なし | 11月5日(木)17:00 |
米国CPIは3つの数字を分けて読む
米国CPIの発表日には、性格の異なる3つの数字が一度に出てきます。BLSの2026年9月CPIの報道発表資料の冒頭は次のとおりです。
- ヘッドライン前月比+0.6%:季節調整済みの値です。
- ヘッドライン前年比3.7%:季節調整前の値です。
- コア前年比2.6%:季節調整前の値です。食料とエネルギーを除いた指数で、8月の2.4%から上昇しました。
同じヘッドラインでも、前月比と前年比では季節調整の有無が違います。BLSは、季節調整済みの指数は短期的な価格変動の基調をつかみやすくすると説明しています。一方で、契約金額を物価に連動させる場合は、季節調整前の指数を使うよう強く勧めています。2つの数字を1つの文に混ぜて書くと、この違いが見えなくなります。
コア2.6%を引用するときも、同じ区別が必要です。BLSの本文には、季節調整の有無が書かれていません。ただ、報道発表資料の表Aでは、2.6は季節調整前の12カ月変化('Unadjusted 12-mos.')の列にあります。コアの前月比は9月が0.3%(季節調整済み)で、同じ表の季節調整済み前月比の列にあります。
米国のコアから除かれる「食料」は、範囲が広いのが特徴です。BLSは9月の食料指数が横ばいだったとし、2つの下位指数を併記しました。外食(food away from home)は0.2%上昇し、家庭内食料(food at home)は0.1%下落しました。食料指数が、スーパーでの買い物と外食代の両方を含む構造です。そのため、米国のコアCPIでは外食代も除かれます。日本の「生鮮食品を除く総合」では、定義上、外食は除かれません。
なぜ除くのでしょうか。BLSはCPIのQ&Aページで、理由を短く記しています。"food and energy prices are relatively volatile." 食料とエネルギーの価格は比較的変動が大きい、という意味です。
米連邦準備制度理事会(FRB)の2%目標は、また別の指数で測ります。FRBのFAQは、目標を個人消費支出(PCE)物価指数の年間変化で測ると明記しています。食料とエネルギーを含む総合指数です。CPIのコア2.6%は、FRBの目標指標の外にある数字です。
コアをどこまで信頼するかは、米国内でも意見が分かれています。BLSの説明に沿えば、コアは振れの大きい品目を除いて基調を見るための道具です。一方、2026年7月15日のロイター記事(WHBL転載)は、コアPCEが個人消費支出の約13%を除外していると指摘しました。食料品の買い物のように、家計が敏感に感じる費用の一部から切り離されているという指摘です。ロイターは、食品価格が上がる局面でこれを説明したり正当化したりするのは難しいという点に、FRBの政策担当者の多くが同意していると伝えました。
セントルイス連銀のブログ記事(2026年7月15日、連銀の公式見解ではありません)は、折衷案を示しました。ヘッドラインPCEからガソリンなどのエネルギー財だけを除けば、より滑らかで代表性のある指標になるという提案です。
日本の「コア」はエネルギーを除かない
ニュースでおなじみの「コアCPI」は、総務省統計局の正式名称では「生鮮食品を除く総合」です。エネルギーまで除いた「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」は別に公表され、「コアコアCPI」と呼ばれます。どちらの呼び名も通称で、総務省の正式名称ではありません。海外の「コア」と比べるときは、この正式名称で中身を確かめるのが確実です。
生鮮食品とは、生鮮魚介・生鮮野菜・生鮮果物の3つです。総務省の2026年9月分の報道資料の注記が、範囲を「生鮮魚介、生鮮野菜及び生鮮果物」としています。肉類はこの範囲に入らないため、コアに残ります。エネルギー品目も、コアにそのまま含まれます。
2026年9月の全国消費者物価指数は、2025年を100として102.2でした。前年同月比は2.1%の上昇で、コアも2.1%でした。エネルギーまで除いたコアコアは2.4%と、むしろ高くなっています。この2.1%はPRISM 5 Things 第4号でも取り上げました。
米国と比べると、方向が逆です。米国では9月のコア(2.6%)がヘッドライン(3.7%)より1.1ポイント低くなりました。日本ではエネルギーをさらに除くと、数字が0.3ポイント上がりました。
市場で注目されやすいのはコアですが、目標の指標はそれとは別です。2013年の政府・日本銀行の共同声明は、「物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする」と明記しています。コアやコアコアを指定する文言はありません。
基準年も変わりました。日本のCPIは、2026年7月分(2026年8月21日公表)から2025年=100基準で公表されています。2026年9月分の指数水準が102前後なのはこのためです。旧基準の指数水準とそのまま比べると、誤った比較になります。総務省は、2025年1月~2026年6月分を新基準で計算し直した結果と接続指数を、2026年8月7日に公表しました。2026年11月20日に出る10月分は、新基準で4回目の全国指数です。
韓国のコア物価は2種類
韓国の国家データ処は、コア系の指数を2つ公表しています。1つは「農産物・石油類除く指数」で、国家データ処はe-ナラ指標(政府の統計指標サイト)の解説でこれを「コアインフレに近い指数」と説明しています。もう1つは「食料品・エネルギー除く指数」で、国家データ処はこれを「OECD方式」と記しています。
同じ解説によると、「農産物・石油類除く指数」は穀物以外の農産物と石油類を除きます。2020年基準の調査品目458のうち、残る401品目で作成します。そのため、コメなどの穀物は指数に残ります。「食料品・エネルギー除く指数」は、ここからさらに水産物・畜産物・エネルギーを除きます。エネルギーを「追加で」除くという定義からすると、「農産物・石油類除く指数」には石油類以外のエネルギー、つまり電気・ガス料金が残ります。エネルギーの一部だけを除く点で、日本のコア(エネルギーを含む)とも米国のコア(エネルギーを除く)とも異なります。
2026年9月の数字は、国家データ処の発表によると次のとおりです。消費者物価指数は120.43で、前年同月比2.9%の上昇でした。8月の3.1%から0.2ポイント低下しています。「農産物・石油類除く指数」は2.7%、「食料品・エネルギー除く指数」は2.8%の上昇です。前月比では「農産物・石油類除く指数」が0.2%上昇し、「食料品・エネルギー除く指数」は0.1%下落しました。同じ月でも、2つのコア指標の前月比は方向が分かれました。
韓国銀行の目標は、ヘッドラインのほうに置かれています。韓国銀行は「2019年以降、物価安定目標は消費者物価上昇率(前年同期比)基準で2%」としています。日本銀行と同じく総合指数が基準で、2026年9月のヘッドライン2.9%がこの目標と比べる数字です。
基準年の改定も控えています。2026年9月分の指数は2020年=100基準です。2026年7月7日の韓国の通信社ニューシスの報道によると、国家データ処は2025年基準への改定結果を同年12月18日に公表する予定です。暫定案の代表品目は455で、ソフトウェアのサブスクリプション料金・スマートウォッチ・電気自動車の充電料金などが新たに加わりました。新基準を何月分の統計から適用するかは、この記事の執筆時点では確認できていません。現時点では、日本(2025年=100)と韓国(2020年=100)で基準年が異なります。
台湾の核心CPIは2段階で除く
台湾はコア指標を2段階で作ります。主計総処の2026年9月の物価報道資料は、その手順をそのまま記しています。まず野菜・果物を除くと、上昇率は2.78%です。そこからさらにエネルギーを除いたものが核心CPI(コアCPI)で、2.52%でした。ヘッドラインCPIは前年同月比2.73%の上昇です。前月比は0.44%、季節調整後は0.17%でした。基準年は民国110年(2021年)=100です。
野菜価格の振れの大きさは、9月の数字にも表れています。同じ報道資料によると、9月の野菜価格は8月下旬の豪雨の影響で前月比17.97%上昇しました。前年同月比では4.93%の上昇です。エネルギー品目の燃料費(油料費)も、国際原油価格に連動して12.72%上昇しました(前年同月比)。この燃料費は核心CPIから除かれます。一方、13.83%上昇した航空券(前年同月比)はエネルギー品目ではないため、核心CPIに残ります。
台湾中央銀行も同じ定義を使っています。2026年9月17日の理事会決議文は、1~8月の核心CPI平均(2.11%)を「野菜・果物とエネルギーを除く核心CPI」と記しています。決議文には「2%」のような数値目標の文言はありません。代わりに、物価の安定と金融の安定を法定の責務として掲げています。台湾中央銀行は、2026年のCPIと核心CPIの上昇率見通しをそれぞれ2.03%、2.16%に上方修正しました。核心CPIの見通しがCPIの見通しより0.13ポイント高い形です。2027年の見通しは1.83%、1.89%です。
同じ数字でも、解釈は分かれました。自由時報と中央通信社は、9月の2.73%について「2%の警戒ラインを5カ月連続で超過」「2年半ぶりの高水準」と報じました。一方、主計総処の担当者は中央通信社に対し、「溫和上漲」、つまり緩やかな上昇だと述べています。全面的なインフレ現象はまだ見られないという説明です。「2%の警戒ライン」は台湾メディアの慣用表現です。主計総処・台湾中央銀行の文書で、これを公式の基準と定めた文言は確認できませんでした。
今後の注目日程
時刻はすべて日本時間です。
11月:4カ国・地域の10月分の物価
- 11月3日(火) 韓国の10月消費者物価動向。国家データ処の公表計画に、発表時刻の記載はありません。
- 11月5日(木)17:00 台湾の10月物価。主計総処が9月の報道資料で予告しています(台湾時間16:00)。
- 11月10日(火)22:30 米国の10月CPI。BLSの予告は米東部時間の午前8時30分です。11月1日に米国の夏時間が終わり、時差は14時間になります。
- 11月20日(金)8:30 日本の10月CPI(e-Statの公表予定)。全国の指数です。
12月:韓国の基準年改定
- 12月18日 韓国の2025年基準改定結果の公表予定(2026年7月7日のニューシス報道)。新基準の適用開始月は、2026年10月末時点で未確認です。
10月分の数字と比べるための、2026年9月分の基準値は次のとおりです。
- 米国:コア2.6%、ヘッドライン(3.7%)との差1.1ポイント
- 日本:コア(生鮮食品を除く総合)2.1%、コアコア(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)2.4%
- 韓国:農産物・石油類除く指数2.7%、食料品・エネルギー除く指数2.8%
- 台湾:核心CPI 2.52%、台湾中央銀行の2026年核心CPI見通し2.16%
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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