トヨタが「グリーン鉄鋼」調達開始、日本の産業脱炭素化への一歩
トヨタが日本製鉄など3社からグリーン鉄鋼調達を開始。自動車業界の脱炭素化が鉄鋼業界の変革を促進する可能性
自動車1台を作るのに必要な鉄鋼は約1トン。世界最大の自動車メーカートヨタが年間1050万台を生産するということは、毎年1000万トンを超える鉄鋼を消費していることになる。そのトヨタが、ついに「グリーン鉄鋼」の調達を開始した。
脱炭素への転換点
トヨタは日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所の3社から、電気炉で製造された低炭素鉄鋼の調達を開始したと発表した。従来の高炉製鉄と比較して、電気炉製鉄はCO2排出量を約75%削減できるとされている。
自動車業界では、2035年までにガソリン車の販売を段階的に廃止する動きが世界的に加速している。しかし、電気自動車(EV)に転換しても、車体製造時のCO2排出量は依然として大きな課題だった。特に鉄鋼生産は、日本の産業部門CO2排出量の約40%を占める最大の排出源である。
鉄鋼業界への波及効果
トヨタのような巨大顧客がグリーン鉄鋼を求めることで、鉄鋼メーカーは生産方法の転換を迫られる。日本製鉄は既に4000億円規模の電気炉新設計画を発表しており、JFEも2030年までに電気炉比率を現在の20%から50%に引き上げる方針を示している。
ただし、電気炉製鉄には課題もある。原料となる鉄スクラップの安定調達と、大量の電力消費が必要になることだ。日本の電力構成がまだ化石燃料に依存している現状では、真の「グリーン」と呼べるかは議論の余地がある。
価格と競争力のバランス
グリーン鉄鋼の価格は従来鋼材より10-20%高いとされる。トヨタがこのコスト増をどう吸収するかは、他の自動車メーカーの判断にも影響を与えるだろう。欧州では既に「カーボンボーダー調整メカニズム」により、高炭素製品への課税が検討されており、長期的にはグリーン鉄鋼の競争力が高まる可能性がある。
興味深いのは、トヨタがハイブリッド戦略と並行してこの取り組みを進めていることだ。EV一辺倒ではなく、多様な技術で脱炭素を目指す同社の姿勢が、鉄鋼調達でも表れている。
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