スマホ禁止の学校で起きている「人間らしさ」の復活
米国の学校でスマホ禁止が広がる中、生徒たちの社会性は向上したが新たな課題も浮上。日本の教育現場への示唆とは?
77%の米国公立学校が授業中のスマートフォン使用を禁止している。わずか10年前の66%から大幅に増加した数字だ。
2023年以降、ニューヨーク州、フロリダ州、テキサス州など29州が、公立学校でのスマホ使用禁止または厳格な制限を義務付ける法律を制定した。さらに10州が地域の学区に何らかの対策を求める措置を講じている。
教室から消えたスマホ、戻ってきた会話
学校現場では様々な方法でスマホ禁止を実施している。生徒が一日の終わりまで開けられない専用ポーチに端末を入れる学校もあれば、教室の箱やロッカーを使う学校もある。
教育リーダーシップの研究者であるコリン・ブリオン氏は、「学校は授業以上の場所です。若者が他者との関わり方を学ぶ場なのです」と指摘する。スマホが片付けられると、生徒たちは実際に顔を見合わせ、再び会話を始めるという。
研究によると、人の顔ではなくスマホの画面を長時間見続けることで、子どもや十代の若者が友情やその他の人間関係を築き、維持するために必要な基本的な社会性を身につけることが困難になる可能性がある。
オハイオ州の実験が示すもの
オハイオ州の事例は特に興味深い。2024年5月、同州は学校へのガイドライン提案から、全公立学区での授業中スマホ使用制限の義務化へと方針を転換した。2025年にはさらに厳格化し、昼食時間や授業間の休憩時間も含む全校時間でのスマホ使用禁止を求めた。
2025年秋に実施された調査では、13校の校長が部分的スマホ禁止の効果を報告している:
- 62%の校長が休憩時間、昼食時間、授業間での対面での社交的交流の増加を確認
- 68%が生徒の20分以上の集中持続を観察
- 72%がカフェテリアなどの共用エリアで、うつむいてスクロールする姿から活発な会話への変化を確認
- 61%がオンラインでの社会的対立が教室に持ち込まれるケースの減少を報告
生徒たちの複雑な心境
しかし、生徒側の反応は複雑だ。2026年1月に実施された18人のオハイオ州高校生への調査では、スマホ禁止の必要性を理解しながらも、個人の安全性と自律性の大きな喪失を感じているという緊張状態が明らかになった。
緊急時に学校事務室の電話が利用できることで安心感を得る生徒もいる一方で、家族の事故や世話をしている兄弟姉妹からの連絡に対応できないことへの不安を訴える生徒も多い。
18人中13人の生徒が、テクノロジーと集中のバランスを取るために必要な自制心を学ぶべきだと主張した。スマホ禁止により、責任ある決断ができない子ども扱いされていると感じ、職業環境に向けて準備する若い大人として見られていないと訴えている。
また、大学や奨学金の申請システムの多くが多要素認証を必要とし、スマホでのログインが必須のため、校内で申請作業ができないという実用的な問題も浮上している。
日本への示唆と課題
この米国の動向は、デジタルネイティブ世代の教育を考える日本にとっても重要な示唆を含んでいる。文部科学省は2019年にGIGAスクール構想を開始し、一人一台端末の整備を進めてきたが、スマホの扱いについては各学校の判断に委ねられている部分が大きい。
日本の学校現場では、校内でのスマホ持ち込み自体を禁止している中学校も多く、高校でも授業中の使用は一般的に制限されている。しかし、登下校時の安全確保や保護者との連絡手段として、完全禁止には慎重な声も根強い。
オハイオ州の研究者は、ルールが尊重されるためには生徒が境界設定に発言権を持つことが重要だと指摘している。家族緊急連絡専用ホットラインの設置や、高学年生徒への限定的なスマホ使用エリアの提供、定期的なメッセージ確認時間の設定などの解決策を提案している。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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