エプスタイン文書が暴く電気自動車業界の闇
新たに公開されたエプスタイン文書から、2017年のEV業界投資の裏側とシリコンバレーとの深いつながりが明らかに。ルーシッドモーターズやファラデーフューチャーへの投資話の真相とは?
3億ドルの「火事場泥棒」取引。2017年、電気自動車スタートアップルーシッドモーターズの資金調達が暗礁に乗り上げていた時、一人の男がジェフリー・エプスタインに投資を持ちかけていました。
暴かれたシリコンバレーとの闇のつながり
米司法省が先週公開した300万件のエプスタイン関連文書から、性犯罪者として知られるエプスタインが、2017年頃のEV業界ブームの最中、複数のスタートアップ投資に関与していた可能性が浮上しました。
仲介役を務めていたのはデビッド・スターンという謎の実業家。彼はアンドリュー王子の元側近で、Pitch@Palaceというスタートアップコンテストの責任者でもありました。スターンは2008年からエプスタインと密接な関係を築き、自らを「私の師であり、彼の言うことに従う」と表現していました。
スターンがエプスタインに持ちかけた投資案件は、ルーシッドモーターズだけではありません。ファラデーフューチャーやCanooといった他のEVスタートアップも含まれていました。当時のEV業界はテスラの成功とグーグルの自動運転プロジェクトの進展に刺激され、レガシー自動車メーカーから新興企業まで、こぞって参入していた時期でした。
中国マネーとの複雑な関係
スターンの投資戦略で注目すべきは、中国との強いつながりです。彼はドイツ出身ながら中国で長年ビジネスを展開し、習近平の前任者である胡錦濤政権下で4番目に権力を持った指導者の義理の息子、李伯潭とも関係を築いていました。
ルーシッドモーターズの件では、競合企業ファラデーフューチャーの創業者賈躍亭が約30%の株式を保有し、新規投資家の参入を事実上阻止していました。スターンはエプスタインに対し、賈が他の事業で「給与支払いのために今すぐ売却する必要がある」と説明し、この機会を利用して投資に参入することを提案しました。
結果的に、エプスタインがこれらのEV企業に投資した証拠はありません。ルーシッドは2018年にサウジアラビア政府系ファンドから10億ドル超の投資を受け、ファラデーフューチャーも中国の不動産大手エバーグランデからの投資を獲得しました。
日本の自動車産業への示唆
この一連の出来事は、当時のEV業界がいかに資金調達に苦労していたかを物語っています。トヨタや日産といった日本の自動車メーカーが慎重にEV戦略を進めていた一方で、米国や中国のスタートアップは投機的な資金に依存していました。
2026年の現在、ルーシッドは依然として量産に苦戦し、ファラデーフューチャーは経営危機が続いています。一方、トヨタのハイブリッド戦略や日産の着実なEV展開は、結果的により持続可能なアプローチだったと言えるでしょう。
しかし、この文書が示すもう一つの重要な点は、新興技術分野における投資の不透明性です。スタートアップ投資の世界では、資金の出所や投資家の素性が十分に精査されないケースが少なくありません。
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