アブダビの国富ファンド、ビットコインETFで1100億円を運用
アブダビの2大投資機関がビットコイン下落局面で買い増しを継続。機関投資家の長期戦略が浮き彫りに。暗号資産への制度的投資の新局面を分析。
10億ドル。これが、アブダビの2つの政府系投資機関が保有するビットコインETFの価値だった。2025年末時点での話である。
中東の石油マネーが、デジタル資産へと流れ込んでいる。しかも、ビットコインが下落している最中に買い増しを続けているのだ。
下落相場での逆張り投資
ムバダラ投資会社とアル・ワルダ投資。アブダビを拠点とするこの2つの投資機関が、2025年第4四半期にブラックロックのiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)への投資を拡大した。
ムバダラは同期間中に約400万株を追加購入し、保有株数を1270万株まで増やした。この買い増しは、ビットコインが約23%下落した期間中に行われている。一方のアル・ワルダも保有株数を820万株まで微増させた。
興味深いのは、両機関とも市場の逆風に逆らって投資を継続していることだ。2026年に入ってからもビットコインはさらに23%下落しており、現在の合計保有価値は8億ドル程度まで減少している。
石油マネーからデジタル資産へ
アブダビの動きは、中東における投資戦略の大きな転換点を示している。従来、石油収入を不動産や株式、債券に分散投資してきた同地域の政府系ファンドが、暗号資産という新たな資産クラスに本格参入し始めているのだ。
ムバダラは2024年後半からIBITへの投資を開始し、継続的に持ち株を増やしている。アル・ワルダも政府関連機関に代わって多様な国際資産を運用する投資管理会社として、ビットコインETFを組み入れた。
ブラックロックのデジタル資産責任者であるロバート・ミッチニック氏は、「ヘッジファンドがETFを使って売買を繰り返し、ボラティリティを高めているという誤解がある」と指摘。実際のIBIT保有者は「長期投資を前提としている」と説明している。
日本の機関投資家への示唆
日本の年金基金や金融機関にとって、アブダビの動きは重要な参考事例となる。日本の機関投資家は伝統的に保守的な投資スタイルを取ってきたが、インフレ圧力と低金利環境の長期化により、新たな収益源の確保が急務となっている。
日本銀行の金融政策正常化プロセスが進む中、円建て資産だけでは十分なリターンを確保できない可能性が高い。アブダビの政府系ファンドが示した「下落局面での逆張り投資」という手法は、日本の機関投資家にとって新たな選択肢を提示している。
ただし、日本では暗号資産に対する規制環境がまだ整備途上にある。金融庁は機関投資家による暗号資産ETFへの投資について慎重な姿勢を維持しており、今後の規制動向が投資判断に大きく影響する可能性がある。
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