SEC、ステーブルコインを証券会社の資本として認定―静かな政策転換が市場に大きな波紋
米証券取引委員会がステーブルコインを証券会社の資本計算に含める新方針を発表。FAQの小さな変更が業界に与える巨大なインパクトとは?
2026年2月20日、米証券取引委員会(SEC)のウェブサイトに追加されたたった数行のテキストが、暗号資産業界に静かな革命をもたらした。
問題となったのは、SECが管理する「証券会社の財務責任に関するよくある質問(FAQ)」の新しい質問番号5。そこには、証券会社がUSDCやUSDTなどのステーブルコインを保有する際、資本計算において2%のヘアカット(割引)のみを適用すればよいという指針が記載されていた。
数字が語る変化の大きさ
この2%という数字は、業界にとって劇的な変化を意味する。従来、多くの証券会社はステーブルコインを資本計算から完全に除外する100%のヘアカットを適用していた。つまり、1億ドルのステーブルコインを保有していても、資本としては0円として扱われていたのだ。
新方針では、同じ1億ドルのステーブルコインが9,800万ドルの資本として計算される。デジタル・チェンバーのコーディ・カーボンCEOは「この指針は新しい規則を作るものではないが、現行の証券法の下で適法に事業を行おうとする企業の不確実性を軽減する」と評価した。
日本企業への影響は?
野村ホールディングスやSBIホールディングスなど、米国で証券業務を展開する日本企業にとって、この変更は新たなビジネス機会を意味する。トークン化された証券の保管や取引仲介がより容易になり、デジタル金融の分野での競争力向上が期待される。
特に、SBIが力を入れるデジタル資産事業や、楽天のフィンテック部門にとって、米国市場での展開戦略に大きな影響を与える可能性がある。
非公式政策の両刃の剣
しかし、この変更にはリスクも伴う。SECのヘスター・ピアース委員が率いる暗号資産タスクフォースによる今回の決定は、あくまで「非公式な職員政策」だ。正式な規則ではないため、新しい指導部の下で簡単に撤回される可能性がある。
暗号資産業界が議会に対してGENIUS法などの立法化を求めているのも、こうした不安定さを解消するためだ。法律として成立すれば、政権交代による方針転換のリスクを軽減できる。
金融の境界線が曖昧になる時代
元教授で現在は暗号資産教育事業を運営するトーニャ・エヴァンス氏は、この変更について「ステーブルコインがマネーマーケットファンドと同じ扱いになった」とX(旧Twitter)で指摘した。
ロビンフッドからゴールドマン・サックスまで、あらゆる証券会社がこの計算方式を使用している。ステーブルコインが「運転資本」として機能するようになったことで、従来の金融と暗号資産の境界線はさらに曖昧になっている。
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