スマホ価格13%上昇の陰で、シャオミが見せた「価格据え置き」の意味
メモリチップ価格急騰でスマホ市場に激震。シャオミの価格維持戦略が示す、プレミアム市場への野心と課題を読み解く
999ユーロ(約14万円)。バルセロナのモバイル・ワールド・コングレスで発表されたシャオミの最新フラッグシップ「Xiaomi 17」の価格です。一見すると昨年モデルと同じ価格設定ですが、この「据え置き」の裏には、スマートフォン業界全体を揺るがす大きな変化が隠れています。
メモリチップ価格の異常事態
2026年第1四半期、メモリチップの価格が80~90%も急騰しました。原因は明確です。AI データセンター向けの需要急増により、スマートフォン用メモリチップが深刻な供給不足に陥っているのです。
Counterpoint Researchによると、この価格急騰は前例のない規模です。メモリはスマートフォンの高価な部品の一つであり、この影響は製品価格に直結します。実際、ガートナーは2026年のスマートフォン価格が13%上昇すると予測しています。
IDCのフランシスコ・ヘロニモ副社長は「シャオミはAppleやSamsungのようにプレミアム製品で高い利益率を確保できないため、他社以上に厳しい状況に置かれている」と指摘します。
中国企業の戦略的ジレンマ
シャオミは世界第3位のスマートフォンメーカーですが、売上の大部分は中価格帯の製品に依存しています。メモリ価格の上昇は、まさにこの主力セグメントを直撃します。
昨年11月、シャオミ経営陣は業界全体でスマートフォン価格の引き上げが避けられないと警告していました。しかし今回の発表では、フラッグシップモデルの価格を据え置きました。これは単なる価格戦略ではなく、プレミアム市場での地位確立への強い意志の表れでもあります。
興味深いことに、シャオミは電気自動車事業で売上を200%近く伸ばしており、これが全売上の約4分の1を占めるまでに成長しています。スマートフォン事業の収益が3%減少する中、この多角化戦略が重要な収益源となっています。
日本市場への影響
CCS Insightのベン・ウッド主席アナリストは、シャオミが中低価格帯製品の値上げを余儀なくされる可能性が高いと分析します。これは日本の消費者にも直接的な影響を与えるでしょう。
日本ではSony、Sharpなどの国内メーカーに加え、Apple、Samsungが高いシェアを持ちます。シャオミのような中国メーカーの価格優位性が薄れれば、市場構造にも変化が生じる可能性があります。
また、日本企業の多くがメモリチップのサプライチェーンに関わっており、この価格急騰は製造コストの上昇として跳ね返ってきます。キオクシア(旧東芝メモリ)などの日本の半導体企業にとっては、一時的には追い風となる可能性もあります。
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