米国雇用平等委員会(EEOC)が2024年のハラスメント指針を撤回、トランプ政権の意向を反映
米国EEOCはトランプ政権の意向を受け、2024年に制定された職場ハラスメント指針を撤回しました。トランスジェンダー保護などを含む190ページのガイドラインが消滅し、今後の雇用現場への影響が懸念されています。
労働者の権利を守るはずの指針が、政治の波に消えました。米国の職場における差別禁止法を管轄するEEOC(雇用平等委員会)は、昨日2026年1月22日、職場のハラスメント対策に関する公式ガイドラインを撤回することを決定しました。これは、第2次トランプ政権下における民権保護政策の大きな転換を意味しています。
ハラスメント指針撤回の背景とトランプ政権の行政命令
撤回されたのは、190ページに及ぶ「職場におけるハラスメントに関する執行指針」です。この文書は、1964年公民権法第7編(Title VII)に基づき、特にLGBTQ+やトランスジェンダーの労働者を守るための具体的な方法を示していました。しかし、新たに多数派となった共和党委員らは、トランプ大統領が昨年出した行政命令を撤回の理由に挙げています。
その行政命令では、性別は「男性と女性という、不変の2つの性のみである」と定義されています。アン・ルーカス委員長は、指針を撤回しても雇用主が自由にハラスメントを行える「空白」が生まれるわけではないと強調しましたが、トランスジェンダーの労働者が自認する性別に基づいたトイレの使用や、適切な代名詞で呼ばれる権利などの保護は、事実上後退することになります。
深まる対立:労働者団体からは強い懸念の声
今回の決定に対し、委員会で唯一の民主党委員であるカルパナ・コタガル氏は、「赤ん坊を産湯と一緒に流すようなものだ」と強く批判しました。彼女は、2024年度だけでも35,000件を超えるハラスメントの苦情が寄せられている現状を指摘し、指針の必要性を訴えています。
ワシントンのEEOC本部前では、ヒューマン・ライツ・キャンペーンなどの旗を掲げた数十人の抗議者が集まりました。参加者の一人は「労働者を中心に考えられた詳細な指針を投げ捨てるのは、顔をひっぱたかれるような屈辱だ」と憤りをあらわにしています。今後、企業は政府の指針なしに、法的なリスクを自ら管理しなければならない難しい局面に立たされることになります。
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