マイクロEV市場の停滞が示す都市交通の未来
世界のマイクロEV市場は140万台で頭打ち。中国でさえ収入増加でSUVシフト。都市交通の理想と現実のギャップが浮き彫りに。
140万台。これが2026年のマイクロEV世界販売予想台数です。昨年と変わらない数字が、この小型電気自動車市場の厳しい現実を物語っています。
マイクロEVとは、全長2.5メートル未満、最高時速100キロメートルの都市型小型電気自動車のことです。しかし8000億ドル規模の世界EV市場で、マイクロEVが占めるのはわずか110億ドル、1.4%に過ぎません。
成功例でさえ陰りが見える中国市場
中国の五菱宏光MINI EVは、昨年10月にテスラ・モデルYを抜いて世界最高売上のEVとなりました。10月から1月だけで35万台近くを販売した唯一の成功例です。
しかし、この勢いも長続きしないかもしれません。中国では収入増加と人口高齢化により、消費者がより大型のSUVを求める傾向が強まっています。IDTechExのアナリスト、プラナフ・ジャイスワル氏は「国内の人口動態の変化による結果」と分析しています。
インドでも同様の現象が起きています。同国で最も売れているEVは、MGのプレミアムSUV「ウィンザー」で、2023年半ばに発売されたコンパクトな「コメット」ではありません。数回の価格上昇を経て、コメットの月間販売台数は約1000台と、ウィンザーの4分の1にとどまっています。
中途半端なポジションの苦悩
Car.co.ukのCEO、ウィリアム・フレッチャー氏は問題の核心を指摘します。「電動二輪車の購入者は最も安価な移動手段を求め、大型電気自動車の顧客は長距離走行、快適性、家族向け機能を重視します。マイクロEVの所有者はその中間で、フルサイズEVのコストや駐車スペース要件なしに、都市通勤用の完全密閉型安全車両を求めているのです」
2024年に世界で販売された785種類の電気自動車モデルのうち、マイクロEVはわずか78種類でした。安価な二輪車と機能豊富な大型車の間で、マイクロEVは uncomfortable middle ground(居心地の悪い中間地点)に位置しているのです。
それでも続く新モデル投入
市場の停滞にもかかわらず、自動車メーカーは新モデルの投入を続けています。ヴィンファストとヒーロー・モトコープがインドでの発売を計画し、ホンダは日本のオートショーで新モデルを披露しました。トヨタはソーラールーフ付きモデルを発表し、ヒュンダイの「インスター」は韓国からヨーロッパと中東に展開を拡大しています。
興味深いのはテスラの戦略です。主にモデルYとモデル3を生産してきた同社が、2人乗りのサイバーキャブで小型車市場に参入します。4月に生産開始予定ですが、消費者向けではなく商用ロボタクシーとして位置づけ、購買者問題を完全に回避しています。イーロン・マスクCEOは「時間をかけて、他のすべての車種を合わせたよりもはるかに多くのサイバーキャブを製造することを期待している」と述べました。
日本市場の特殊事例
日本では7000ドルの1人乗りミボットが3300台の予約を獲得し、2024年のトヨタのEV販売台数を上回りました。また、フランスでは一部のマイクロカーモデルを14歳から運転できる制度があります。
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