大統領は午前4時に何を投稿しているのか
トランプ大統領がSNSに深夜の投稿を繰り返し、ローマ教皇を攻撃しキリストに自分をなぞらえた。これは単なる「いつものトランプ」なのか、それとも指導者としての限界を示すサインなのか。
午前4時10分、アメリカ大統領はスマートフォンを手に、自分を称賛する記事のリンクを投稿した。夜明け前のことだ。
これは一夜限りの話ではない。ドナルド・トランプ大統領は近ごろ、自身のSNSプラットフォーム「Truth Social」に深夜から明け方にかけて投稿を繰り返している。しかし2026年4月13日の日曜日の夜から翌朝にかけての行動は、これまでとは一線を画すものだった。
その夜、何が起きたのか
午後9時過ぎ、トランプ大統領はマイアミからの帰路、専用機の中で300字以上にわたる投稿を公開した。標的はローマ教皇レオ14世——アメリカ史上初のアメリカ人教皇だ。
発端はこうだ。トランプ大統領は先週、イースターの日曜日に、イランの古代文明を「破壊する」という過激な投稿を行った。これに対し教皇レオは「容認できない」と批判し、「全能への妄想」「自己と金銭の偶像崇拝はもう十分だ」と述べた。
トランプ大統領はこれを黙って受け入れなかった。彼は教皇を「犯罪に甘い」「核兵器に甘い」と断じ、「レオは教皇候補リストにすら載っていなかった」と主張した。さらに、教皇の兄ルイスの方が「MAGAだから好きだ」と述べ、「私がいなければレオはバチカンにいなかった」とまで言い切った。カトリック信者でもない大統領が、聖霊のはたらきを自分の功績に帰した瞬間だ。
それだけではなかった。教皇への投稿からわずか45分後、トランプ大統領はAIが生成した画像を投稿した。そこには、兵士や看護師に囲まれ、病人を癒す姿のトランプ大統領が描かれていた——明らかにキリストを模したものだ。この投稿は後に削除されたが、本人は「医師の服を着ていると思った」と釈明した。
その後も投稿は続いた。月面に建つ「トランプタワー」のモックアップ、政敵を揶揄するミーム、ニュースメディアのクリップ——そして午前12時43分、まるで日常的な告知のように、イランの港湾を翌朝から封鎖すると発表した。午前4時10分の最後の投稿まで、大統領の指は止まらなかった。
「いつものトランプ」で片付けられるのか
トランプ大統領の衝動的なSNS利用は今に始まった話ではない。しかし今回の一連の行動を「いつもの彼らしさ」として受け流すことには、深刻なリスクが伴う。
まず文脈を整理しよう。アメリカ軍はイランとの戦争状態に入って約6週間が経過している。中国はイランの再武装を支援していると報じられている。トランプ大統領の支持率は歴代大統領と比較しても最低水準に落ち込み、経済指標も悪化している。さらに先週末には、彼が「同志」と称えてきたハンガリーのオルバーン首相が選挙で敗北した。
こうした状況の中で、核兵器の発射コードを持つ最高司令官が、深夜に教皇を攻撃し、自分をキリストになぞらえ、港湾封鎖をSNSで予告する——これは単なる「個性」の問題なのだろうか。
アトランティック誌の寄稿者トム・ニコルズはこう指摘する。「高齢の親がこのような行動をとれば、多くの人が心配するだろう。大統領がこのような行動をとることは、はるかに深刻だ」
一方で、トランプ支持者たちはこれを「交渉戦術」「計算された圧力」として擁護する。実際、彼の「予測不可能性」がこれまで一定の外交効果を生んできたという見方もある。問題は、その「予測不可能性」がどこで戦略的計算を超え、制御不能な状態に変わるのか——その境界線がどこにあるのかが、ますます見えにくくなっている点だ。
日本から見えるもの
日本にとって、この問題は遠い国の内政問題ではない。
日米安全保障条約の下、日本の防衛は実質的にアメリカの核抑止力に依存している。北朝鮮のミサイル開発、中国の軍事的台頭、そして今回のイランをめぐる緊張——これらすべての局面で、アメリカの最高司令官の判断力は直接的に日本の安全保障に影響する。
また経済面でも、イラン情勢の悪化は原油価格の上昇を通じてエネルギー輸入依存度の高い日本経済を直撃しうる。トヨタやソニーをはじめとする日本企業は、アメリカ市場への依存度が高く、政治リスクの高まりに敏感だ。
日本社会には「和を以て貴しとなす」という価値観が根付いている。指導者が公の場で感情を爆発させ、宗教的権威を攻撃し、自らを神格化する——こうした行動は、日本の政治文化においては想像しがたい。しかしだからこそ、日本の読者がこの事態を「理解不能な他国の話」として距離を置くことには危険が伴う。理解しにくいからこそ、その影響を過小評価してしまうリスクがある。
日本の外交当局者たちは今、難しい問いに直面しているはずだ。「このパートナーの言動を、どこまで信頼の基盤として扱えるか」と。
記者
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