RWA発行者の真の狙い:流動性より資金調達を重視する理由
Brickken調査によると、RWA発行者の53.8%が資金調達効率化を最優先とし、流動性は二の次。24/7取引を計画する大手取引所との温度差が浮き彫りに。
53.8%のRWA(現実世界資産)発行者が、トークン化の最大の目的を「資金調達と調達効率の向上」と答えている。一方で、流動性を主目的とする発行者はわずか15.4%に留まった。
この数字は、トークン化プラットフォームBrickkenが2025年第4四半期に実施した調査結果だ。興味深いのは、CME、NYSE、Nasdaqといった大手取引所が24時間365日のトークン化資産取引を計画している一方で、実際の発行者たちは全く異なる優先順位を持っていることだ。
発行者と取引所の温度差
BrickkenのCMOであるJordi Esturi氏は、この現象を「取引所のビジネスモデル進化」として説明する。「取引所は取引量を増やすことで収益を上げるため、取引時間の延長は自然な戦略です。しかし、これは発行者の需要とのズレというより、ビジネスモデルの違いなのです」。
調査によると、69.2%の発行者がすでにトークン化プロセスを完了し稼働中だが、多くは「検証フェーズ」にある。規制構造の証明、投資家の関心度テスト、発行プロセスのデジタル化が主な焦点で、流動性は「基盤構築後の課題」として位置づけられている。
実際、38.4%の発行者が「流動性は不要」と回答している一方で、46.2%は「6〜12ヶ月以内に二次市場での流動性を期待」と答えており、完全に流動性を否定しているわけではない。
規制という現実的な壁
最も深刻な課題は規制だ。84.6%の発行者が何らかの規制上の摩擦を経験しており、53.8%は規制が事業を遅延させたと報告している。技術的な課題を最大の困難とした発行者は13%に過ぎず、規制環境の整備が急務であることが浮き彫りになった。
Legal Nodeの創設パートナーAlvaro Garrido氏は、「コンプライアンスは立ち上げ後に対処するものではなく、初日から考慮し設定するものです」と指摘する。日本でも金融庁による暗号資産規制の枠組み整備が進む中、RWA発行者は慎重なアプローチを取らざるを得ない状況だ。
不動産を超えた多様化
注目すべきは、トークン化の対象が不動産を超えて多様化していることだ。不動産は10.7%に留まり、株式・持分が28.6%、知的財産・エンターテイメント関連資産が17.9%を占めている。
テクノロジープラットフォーム(31.6%)、エンターテイメント(15.8%)、プライベートクレジット(15.8%)など、従来の金融商品とは異なる資産クラスがトークン化の主戦場となっている。
DZ PRIVATBANKのデジタル資産サービス責任者Patrick Hennes氏は、「伝統的金融とDeFiの真の橋渡しは、イデオロギーではなく、規制要件、投資家保護、資産サービス基準をプログラマブルシステムに変換する発行インフラです」と述べている。
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