ロシアの仮想通貨市場、年間14兆円規模の「影の経済」が浮上
ロシア財務省が明かした仮想通貨の実態。日額約1000億円の取引が規制外で行われ、政府は春の議会で法制化を目指す。日本の金融業界への影響は?
制裁下のロシアで、驚くべき規模の仮想通貨経済が動いている。ロシア財務省の発表によると、同国の日額仮想通貨取引量は約1000億円、年間では約14兆円に達するという。
この数字は何を意味するのか。そして、なぜ今ロシア政府は仮想通貨の法制化を急ぐのか。
規制外で動く巨大市場
イワン・チェベスコフ財務副大臣は、アルファ・トーク会議で衝撃的な数字を明かした。ロシアの仮想通貨取引は日額500億ルーブル(約1000億円)、年間では10兆ルーブル(約14兆円)に上るという。
「これは年間10兆ルーブル以上の取引量で、現在は規制区域外、つまり我々の監視外で行われている」とチェベスコフ氏は述べた。
ロシア中央銀行によると、ロシア人ユーザーは2025年半ばの時点で、海外の仮想通貨取引所に約1.5兆円を保有していた。これらのプラットフォームは現在、ロシアでは規制されていない。
政府が法制化を急ぐ理由
ウラジミール・チスチューヒン中央銀行第一副総裁は、政府と中央銀行が春の議会で仮想通貨市場規制法案の可決を目指していると明かした。
提案されている規制枠組みは興味深い。既存の認可されたインフラ(取引所やブローカー)が仮想通貨分野に参入し、サービスを拡充できるようになる。モスクワ取引所(MOEX)はすでにビットコインとイーサリアムの現金決済先物契約を提供しており、SOL、XRP、TRXの先物追加も計画している。
新しい枠組みでは、MOEXやブローカーが現物市場にも参入可能になる。適格投資家と非適格投資家の両方が参加できるが、後者には制限が設けられる予定だ。
世界最大級の仮想通貨市場
チェイナリシスの調査によると、2024年7月から2025年6月の間に、ロシアは4760億ドル相当の仮想通貨を受け取った。これは英国の2732億ドルを大きく上回り、ヨーロッパ最大の仮想通貨市場であることが判明している。
セルゲイ・シュヴェツォフモスクワ取引所監督委員会議長は、ロシア人ユーザーが海外の仮想通貨プラットフォームに年間約2兆円の手数料を支払っていると指摘した。
「可能になり次第、我々はグレーセクターと競争を始める」と同氏は述べている。
日本への示唆
ロシアの動きは、日本の金融業界にとって複数の意味を持つ。まず、制裁下でも仮想通貨市場が急成長する現実は、デジタル資産の国境を越えた性質を改めて浮き彫りにしている。
日本の金融機関や規制当局にとって、ロシアの法制化アプローチは参考になるかもしれない。既存の金融インフラを活用しつつ、段階的に仮想通貨市場を取り込む戦略は、野村證券やSBIホールディングスなどが検討している方向性と重なる部分がある。
一方で、地政学的な観点では複雑だ。ロシアの仮想通貨法制化は、制裁回避の手段として機能する可能性もある。日本企業は、コンプライアンス上の新たな課題に直面するかもしれない。
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