科学予算4兆円の行方は誰が決める?トランプ政権下での研究独立性の未来
米国の科学機関人事が政治の影響をどこまで受けるべきか。研究の独立性と政治的説明責任のバランスを考える
新政権が誕生するたび、米国では約4,000人の政治任用ポストが入れ替わる。国務長官のような有名な役職もあれば、「繊維・消費財・素材・重要鉱物・金属産業分析担当副次官補」といった聞き慣れない肩書きもある。
しかし、NASAや国立衛生研究所(NIH)といった科学機関は、他の政府部門と比べて政治任用者が少ない傾向がある。時には、数兆円規模の予算を管理し、研究分野全体の方向性を決める重要なポストが、ホワイトハウスや議会の直接的な関与なしに決められることもある。
科学と政治の微妙な境界線
この仕組みは、「科学者が政治的干渉をほとんど受けずに研究の資金配分や実施を監督すべき」という長年の議論を反映している。科学の独立性を重視する考え方だ。
一方で、公的資金を使う以上、選挙で選ばれた政治家への説明責任も必要だという見方もある。特に気候変動やワクチン政策など、科学的知見が政治的論争の中心となる分野では、この緊張関係が顕著に現れる。
トランプ政権下では、環境保護庁や疾病予防管理センターなどで科学者と政治任用者の対立が表面化した。研究結果の公表が制限されたり、科学的助言が政策に反映されなかったりするケースが相次いだ。
日本への示唆と世界的な潮流
日本でも科学技術予算は6兆円を超える規模となり、その配分方法が注目されている。文部科学省や内閣府の科学技術政策担当者の多くは官僚だが、政治主導の色合いも強まっている。
欧州では科学助言の独立性を制度的に保障する動きが進む一方、中国では党の方針と科学政策の一体化が進んでいる。各国が異なるアプローチを取る中で、どの方式が最も効果的な科学政策を生み出すのかは明確ではない。
研究者の国際移動が活発化する現在、一国の科学政策の変化は世界の研究コミュニティに波及する。米国の政策転換は、日本の研究機関にとって新たな協力機会を生む可能性もある。
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