セイラー氏の「ビットコイン損失57億ドル」が示す暗号資産投資の新たな現実
マイケル・セイラー氏のMicroStrategy社、ビットコイン投資で57億ドルの含み損。それでも買い続ける理由と、機関投資家の暗号資産戦略の変化を探る。
マイケル・セイラー氏が率いるMicroStrategy社の会議室で、役員たちが最新のビットコイン購入報告を聞いている。168億円相当の追加購入。しかし、帳簿上の数字は厳しい現実を突きつけている。57億ドルの含み損だ。
数字が語る「逆張り戦略」の現在地
MicroStrategyは先週、2,486ビットコインを1億6840万ドルで購入した。これにより同社の保有量は71万7131ビットコインに達し、取得総額は545億2000万ドル、平均取得価格は7万6027ドルとなった。
現在のビットコイン価格6万8000ドルと比較すると、1ビットコインあたり約8000ドル、総額で約57億ドルの含み損を抱えていることになる。同社株価も年初来で60%超下落している。
今回の購入資金は、普通株式の売却による9050万ドルと、優先株式STRCシリーズの売却による7840万ドルで調達された。
なぜ「損失」でも買い続けるのか
一般的な投資家なら含み損を抱えた状況で追加投資を躊躇するだろう。しかしセイラー氏の戦略は異なる。彼は一貫して「ビットコインは長期的なインフレヘッジ」という信念を貫いている。
実際、MicroStrategyの戦略は単純な投機ではない。同社は「ビットコイン・トレジャリー戦略」と呼ぶアプローチで、余剰現金をビットコインに変換し続けている。これは従来の企業財務戦略からの根本的な転換だ。
興味深いのは、他の機関投資家の動向だ。ハーバード大学は最近ビットコイン保有量を20%削減した一方で、イーサリアムのポジションを新たに構築している。イタリアの銀行大手Intesa Sanpaoloは1億ドルのビットコインETF保有を開示した。
機関投資家の「分散」戦略
MicroStrategyの極端な集中投資とは対照的に、多くの機関投資家は暗号資産への露出を慎重に管理している。これは2026年の暗号資産市場が新たな成熟段階に入っていることを示唆している。
Bank of Americaの最新調査では、ドル安への賭けが10年ぶりの高水準に達しており、これがビットコインを含む代替資産への関心を高めている。しかし、ビットコインとナスダックの相関係数が2月3日以降、-0.68から+0.72に急変したことは、暗号資産がテック株との連動性を強めていることを示している。
日本の投資家にとって注目すべきは、メタプラネット社が2026年の営業利益が81%増加する見通しを発表したことだ。同社は昨年、オプション取引により営業利益を17倍に拡大させており、ビットコイン関連事業の収益化モデルとして参考になる。
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