プラウド・ボーイズが街頭から消えた理由:政府が彼らの仕事を代行している
極右民兵組織プラウド・ボーイズのリーダーが語る驚きの真実。なぜ彼らは抗議活動から身を引いたのか。連邦政府の移民取締りとの類似点を探る。
「もう欲しいものは手に入れたからな。抗議する理由がないんだ」。長年プラウド・ボーイズを率いてきたエンリケ・タリオ氏は、テスラの充電中に電話でこう語った。なぜ彼の組織が街頭から姿を消したのかという質問への答えは、予想外のものだった。
極右民兵の「引退宣言」
プラウド・ボーイズのような極右組織は、1年前には復活の兆しを見せていた。タリオを含む多くのリーダーが2021年1月6日の議事堂襲撃事件で収監されていたが、トランプ大統領の恩赦により約1,500人の暴動参加者が釈放された。
しかし、武装した戦術装備に身を包んだ民兵組織が再び街頭に現れることはなかった。その理由をタリオは明確に説明する。「連邦政府が自分たちの仕事をやってくれているから」だというのだ。
実際、武装した男性グループが移民を威嚇し、抗議者と暴力的に対峙する光景は今も続いている。ただし、今回の主体は国土安全保障省の大量強制送還チームだ。
戦術の驚くべき類似性
ミネアポリスに展開された約3,000人の連邦捜査官たちの装備を見ると、その類似性は一目瞭然だ。同じ戦術ベスト、カーゴパンツ、サングラス、顔を覆うネックバフ。プラウド・ボーイズがポートランドで着用していたものと区別がつかない。
国土安全保障省の本来の任務は国境警備と不法移民の強制送還だが、実際の行動パターンは民兵組織と酷似している。両者とも移民と左派勢力への「容赦ない威嚇」を共通目標とし、軍事的戦術を用いた対立を繰り広げている。
この類似性は偶然ではない。DHSとその関連機関が、極右過激派の思想と戦術を連邦政府の権限と融合させた結果なのだ。
政府による「内製化」された民兵組織
「移民問題は2016年から中心的で分極化する問題だった。今も俺たちの中心的関心事だ」とタリオは語る。彼は自分たちの以前の役割を「法執行機関ができないことをやること」だったと説明した。
ICE(移民・関税執行局)と国境警備隊は、独立した右翼グループが夢見ることしかできなかった資源を持っている。昨夏成立したOne Big Beautiful Bill Actにより、ICEは750億ドルの追加予算を獲得した。
バンス副大統領とスティーブン・ミラー大統領副首席補佐官は最近、捜査官には法的免責があると発言している。司法省は捜査官の行動、民間人2名の殺害を含む事案についてほとんど調査を行っていない。
組織の境界線が曖昧になる現実
上院常設調査小委員会が先月発表した報告書では、ICEに拘束されたアメリカ市民の証言として「数名の捜査官がプラウド・ボーイズを支持するタトゥーをしていた」という記述がある。
タリオに直接質問すると、彼は曖昧な答えを返した。「何人かのメンバーが応募したと思うが、もしICEに入ったとしても、公然とプラウド・ボーイズだと名乗れば解雇されるだろうから、黙っているだろう」。
新たな戦術への転換
ICEと国境警備隊に仕事を奪われたプラウド・ボーイズは戦術を調整している。タリオは変装してミネアポリスに向かい、ICEに抗議する人々について「情報収集」を行うことを検討していると語った。
極右の思想は既に連邦政府に浸透している。排外主義的イデオロギーが移民政策を推進し、政府はオハイオ州のハイチ人やミネソタ州のソマリア人など特定の有色人種コミュニティを名指しで敵視している。
記者
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