ホワイトハウスでの暗号資産会議、「進展」も合意には至らず
銀行業界と暗号資産業界がステーブルコインの利回りを巡って3度目の交渉を実施。市場構造法案の行方は?
3度目の正直は実現するのでしょうか。2月19日、ホワイトハウスで開催された暗号資産業界と銀行業界の会議は、予定の2時間を大幅に超過したものの、依然として決定的な合意には至りませんでした。
争点となっているのは、Coinbaseなどのプラットフォームが提供するステーブルコインの利回りサービスです。銀行業界は、こうしたサービスが自分たちの預金事業の中核を脅かすと主張し、デジタル資産市場明確化法案(Digital Asset Market Clarity Act)でこの点を再検討するよう求めています。
対立の構図と妥協の模索
今回の会議では、ホワイトハウス当局者が参加者の携帯電話を回収し、共通点を見つけるまで会議室に留まるよう圧力をかけたと報告されています。この異例の措置は、両業界間の溝の深さを物語っています。
暗号資産イノベーション評議会のCEOであるJi Kim氏は「建設的な会議だった」と述べ、「アメリカの消費者にサービスを提供しつつ、米国の競争力を強化する枠組みを確立するための対話が前進した」と評価しました。一方、Coinbaseの最高法務責任者Paul Grewal氏も「対話は建設的で、協力的な雰囲気だった」とSNSに投稿しています。
以前の妥協案では、静的なステーブルコイン保有に対する報酬は放棄し、特定の活動や取引でのみ報酬を維持するという内容が検討されていました。しかし、銀行業界はすべての報酬を禁止するよう要求し続けています。
日本への示唆
日本では、三菱UFJフィナンシャル・グループが独自のステーブルコイン「MUFG Coin」の実証実験を進めており、みずほ銀行もデジタル通貨の研究開発に取り組んでいます。アメリカでの規制動向は、日本の金融機関の戦略にも大きな影響を与える可能性があります。
特に注目すべきは、従来の銀行業務とデジタル資産サービスの境界線をどこに引くかという問題です。日本の金融庁も、デジタル資産と既存の金融システムの調和を図る政策を模索しており、アメリカの議論は重要な参考事例となるでしょう。
立法プロセスの複雑さ
仮に両業界が合意に達したとしても、議会での勝利が保証されるわけではありません。上院銀行委員会での公聴会が必要であり、民主党議員からはドナルド・トランプ大統領の暗号資産事業への関与禁止や、分散型金融(DeFi)におけるマネーロンダリング対策の強化などの要求が出されています。
暗号資産業界にとって、この明確化法案は最優先の政策課題です。米国での規制が確定すれば、業界は活動と投資の急増を期待しており、米国金融システムの不可欠な一部として確立されることを目指しています。
関連記事
サムスン系3社がUpbit運営会社Dunamuの株式4%を約408億円で取得。カカオは1ヶ月足らずで約2,200億円分の株式を売却。韓国財閥と暗号資産市場の構造変化を読み解く。
イーロン・マスクがテスラとスペースXの合併を検討中。実現すれば約3,300億円相当のビットコインを保有する世界第5位の企業ビットコイン金庫が誕生する。日本市場への影響も含め多角的に分析。
マスターカードがニューヨーク州のBitLicenseを取得。ステーブルコインやブロックチェーン決済インフラへの本格参入が始まった。日本の金融・決済業界への影響と、グローバルな潮流を読み解く。
暗号資産業界が支援する政治活動委員会がテキサス州予備選に900万ドル超を投じ、民主・共和両党で親クリプト候補を次々と当選させた。2026年中間選挙に向けた業界の政治戦略を読み解く。
意見
この記事についてあなたの考えを共有してください
ログインして会話に参加