韓国半導体大手狙う「パテント・トロール」の影:サムスンとSKハイニックスが直面する2026年の知財リスク
2026年、AIブームに沸くサムスンとSKハイニックスがパテント・トロールの標的に。アメリカの特許政策変更により、IPR却下率は90%に急上昇。知財リスクが韓国半導体業界の投資活動を脅かしています。
AI(人工知能)ブームを背景とした半導体業界のスーパーサイクルの中、韓国を代表する半導体メーカーが新たな危機に直面しています。聯合ニュースによると、Samsung(サムスン電子)とSK hynix(SKハイニックス)が記録的な収益を上げる一方で、自らは製品を製造せず特許権の行使のみで利益を得る「パテント・トロール(NPE:特許不実施主体)」の標的となっているのです。業界関係者は、アメリカの知財政策の変化がこの動きを加速させていると警鐘を鳴らしています。
サムスンとSKハイニックスを追い詰めるアメリカの知財保護強化
今回のリスクの背景には、アメリカのドナルド・トランプ政権下で強化された保護主義的な特許政策があります。かつてアメリカは、不当な特許訴訟を抑制するために「IPR(当事者系レビュー)」という制度を導入していました。しかし、現在はこの制度の運用が厳格化され、パテント・トロールに対する企業の防御壁が事実上崩壊しつつあります。
| 項目 | 以前の推計 | 現在の状況(2026年) |
|---|---|---|
| IPR(特許無効審判)の却下率 | 約30% | 約90% |
| 主な対象企業 | グローバルテック企業 | Samsung / SK hynix等 |
技術競争を阻む「法的な逆風」
パテント・トロールによる訴訟の乱発は、単なる金銭的損失に留まりません。韓国の半導体業界は、本来R&D(研究開発)や設備投資に向けられるべき貴重なリソースが法廷闘争に奪われることを懸念しています。ある業界関係者は、「半導体産業は今、技術競争だけでなく、知的財産政策という外部の逆風にもさらされている」と指摘し、官民一体となった対策の必要性を訴えています。
関連記事
韓国政府が推進し、サムスン電子が400兆ウォン(約42兆円)を投じるとされる光州の半導体工場計画。最初に反対の声が上がったのは会社の内部でした。労組のアンケートでは、回答者の84%が反対と答えています。
IBMが世界初のsub-1nm(0.7ナノ)チップ技術「ナノスタック」を公開しました。ムーアの法則に10~15年を上乗せしたとの評価と、「研究室の成果にすぎない」との慎重論が対立しています。量産を担うのはIBMではありません。
サムスン電子とSKが2026年6月29日、韓国内に数千兆ウォン規模の半導体・AI投資を共同発表しました。発表額は報道により3100兆~4755兆ウォンと開きがありますが、本当の勝負どころは資本ではなくインフラ、つまり水と電力です。日本の半導体素材・装置産業への波及も含めて読み解きます。
ファーウェイ傘下HiSiliconが「タウのスケーリング則」という新設計思想を発表。米国の輸出規制を迂回する可能性を秘めた半導体戦略の全貌と、日本企業への影響を読み解く。
意見
この記事についてあなたの考えを共有してください
ログインして会話に参加