トランプ政権で「クビにしない」新戦略の真意
ノエム国土安全保障長官への批判が高まる中、トランプ大統領が見せる新しい部下管理術とその政治的計算を分析
ミネソタ州で移民取締り中に抗議者が連邦捜査官に射殺された事件で、クリスティ・ノエム国土安全保障長官への批判が沸騰している。通常なら即座に更迭される状況だが、ドナルド・トランプ大統領は彼女を解任していない。
これは第一期政権とは明らかに異なる人事戦略だ。当時のトランプ氏は「お前はクビだ」の決め台詞で次々と側近を切り捨てていた。しかし今回は違う。
「公開処刑」から「公開屈辱」へ
第一期政権では、マイケル・フリン国家安全保障担当補佐官、ショーン・スパイサー報道官、ラインス・プリーバス首席補佐官らが相次いで更迭された。トランプ氏の「お前はクビだ」は、テレビから政治の世界へと移行していた。
しかし今回、ノエム長官は週末を乗り切った。代わりに彼女は公の場で屈辱を味わわされている。これはトランプ氏の屈辱手法の微妙な変化を示している。即座に解任するのではなく、公的な疑念を植え付け、最終決定者である自分自身に最大限の注目を集めることを好んでいるようだ。
37歳の看護師アレックス・プレッティ氏がCBP(税関・国境警備局)職員に射殺された事件で、ノエム長官は証拠もなく同氏を「国内テロリスト」と呼んだ。映像がその主張と矛盾することが判明すると、ホワイトハウスは距離を置いた。
忠誠心重視の新体制
今期政権の高官離職率の低さは、第一期との本質的違いを物語っている。前回は大統領に異議を唱える経験豊富で責任感ある人物も含まれていたが、今回は意図的に超忠誠主義者を集めた。彼らの使命は大統領の意向を完全に実行することだ。
「彼女は非常に良い仕事をしている」。火曜日にアイオワ州への出発前、トランプ氏はノエム長官についてこう語った。その義務的な口調は、連敗中の監督に信任投票を表明するスポーツチームオーナーを思わせた。
スティーブン・ミラー移民強硬派顧問は、CBPが適切な手順に従っていなかった可能性を示唆し、責任転嫁の応酬が始まった。トランプ氏は「国境皇帝」トム・ホーマン氏をミネソタに派遣し、作戦を引き継がせた。
党内からも批判の声
共和党のトム・ティリス上院議員(ノースカロライナ州)とリサ・マーカウスキー上院議員(アラスカ州)もノエム長官の辞任を求めている。「彼女は我々が優位に立つべき問題で、この政権を地に落とした」とティリス議員は述べた。
トランプ氏は両議員を「敗者」と切り捨てたが、ティリス議員は「その評価に感激している。私も国土安全保障長官の資格があるということだからだ」と皮肉で応じた。
木曜日の閣議では、高官たちが順番に大統領を褒めちぎる恒例の儀式が行われた。これはノエム長官にとって存在証明と大統領への謝罪の機会だったはずだが、トランプ氏は彼女に発言を求めなかった。
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