香港の民主派大物に禁錮20年、「一国二制度」の終焉を意味するのか
香港の民主派メディア王ジミー・ライ氏に禁錮20年の判決。国家安全維持法下で最も重い刑罰が意味するものとは。
78歳の高齢で獄中にいるジミー・ライ氏に、さらに20年の禁錮刑が言い渡された。これは香港国家安全維持法下で科された最も重い刑罰だ。一体、何がこれほどまでに重大な「犯罪」とされたのだろうか。
「外国勢力との結託」とは何だったのか
香港の裁判所は10日、アップル・デイリー紙の創設者であるジミー・ライ氏に対し、「外国勢力との結託」などの罪で禁錮20年の判決を下した。判決の核心となったのは、2019年の大規模デモの最中に、当時のマイク・ペンス副大統領やマイク・ポンペオ国務長官と面会したことだった。
裁判官らは、ライ氏の行為を「深刻かつ重大な犯罪行為」と非難し、「最も深刻な」カテゴリーの陰謀に関与したと判断した。しかし、ライ氏自身は11月の証言で、外国の連絡先を使って香港の外交政策に影響を与えたことは「一度もない」と述べ、単に状況を「伝えただけ」だと主張していた。
中国本土の広州で生まれ、12歳で漁船に密航して香港にたどり着いたライ氏。雑用から身を起こし、ジョルダーノなどの衣料ブランドで数百万ドル規模の帝国を築き上げた。1989年の天安門事件後、民主化活動家としての道を歩み始めた彼の人生は、まさに香港の「アメリカンドリーム」を体現していた。
国際社会の反応と中国の論理
判決に対し、国際社会からは強い批判の声が上がっている。ジャーナリスト保護委員会のジョディ・ギンズバーグ氏は「香港の報道の自由にとって最後の釘を打つ、言語道断の決定」と非難した。英国、オーストラリア、EU、日本などが懸念を表明し、国連人権高等弁務官も釈放を求めている。
一方、中国外務省報道官は批判を一蹴し、「関連する司法事件は純粋に香港の内政問題」だと述べた。香港当局も、この判決が同市の「法の支配」を示すものだと主張している。
興味深いのは、ライ氏の息子セバスチャン氏が、キア・スターマー英首相の最近の中国訪問を「機会の無駄遣い」と批判していることだ。経済関係の改善を優先する西側諸国と、人権問題を重視する活動家たちの間には、明らかな温度差が存在している。
「一国二制度」の現実
2019年の大規模デモ以降、香港では数百人が国家安全維持法の下で逮捕されている。この法律は中国政府が「香港の安定に不可欠」と主張する一方、民主派は「香港の自治の終焉」と捉えている。
ライ氏は2020年、自由の身としての最後のインタビューで「香港のおかげで今の自分がある」と語り、「これが報いの時なら、これが私の償いだ」と述べていた。その言葉通り、彼は既に5年以上を獄中で過ごし、今回の判決でさらに長期間の収監が確定した。
日本企業にとっても、香港情勢の変化は無視できない。金融ハブとしての香港の地位や、中国本土へのゲートウェイ機能に変化が生じれば、アジア戦略の見直しを迫られる可能性がある。
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