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ガソリン高騰はEVの追い風か? 喜べない理由
テックAI分析

ガソリン高騰はEVの追い風か? 喜べない理由

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イラン情勢の悪化で米国のガソリン価格が1ガロン約4ドルに迫る。EV需要は急増しているが、化石燃料価格の高騰は車を持たない人々の生活にも静かに影響を与えつつある。

ガソリンスタンドの前を素通りする生活を何年も続けてきた人が、ある日、燃料価格の欄に釘付けになる。それは「自分には関係ない」と思っていたものが、気づけば生活のあちこちに忍び込んでいたからかもしれない。

イランをめぐる地政学的緊張が高まるなか、米国の平均ガソリン価格は2026年3月25日時点で1ガロン3.98ドルに達した。戦争が始まる前は3ドル以下だったことを考えると、短期間での急騰である。SNSでは一部のEVオーナーたちが「ほら、言ったじゃないか」とばかりに喜ぶ投稿を拡散している。気持ちはわかる。だが、この「追い風」を手放しで歓迎できない理由が、実はいくつもある。

EVへの関心は本物か

歴史を振り返ると、化石燃料の価格急騰は人々の行動変容を促す最大のきっかけのひとつだった。1970年代のオイルショックでは、米国人が一斉に小型・低燃費車に乗り換え、当時その分野で先行していた日本の自動車メーカー——トヨタホンダ——が世界市場での地位を一気に高めた。あの転換点が、その後数十年にわたる日本車の国際競争力の礎になったとも言える。

今回も似たような動きが見え始めている。米国のある中古車オンラインマーケットプレイスでは、イランへの最初の攻撃後にEV関連の検索トラフィックが20%増加した。テスラ Model Yに至っては、検索数がほぼ2倍に跳ね上がった。関心は米国にとどまらない。ロンドン郊外のあるディーラーはオークションでEVを買い付けるためにスタッフを派遣するほど需要に追いつけない状況だと報じられ、マニラのディーラーでは2週間で1か月分の注文が入ったという。

タイミングという点でも、今の米国市場には特別な事情がある。2023年インフレ削減法(IRA)の施行によりEVリースへの優遇措置が広がり、リースブームが起きた。そのとき結ばれた約30万件のリース契約が今年満期を迎え、中古EV市場に大量の車両が流れ込もうとしている。価格の壁が下がれば、「気になっていたけど手が出なかった」層の背中を押す可能性がある。

エネルギーコンサルタント会社BloombergNEFのデータによれば、ガソリン価格が1ガロン4ドルを超えると、電気代が多少高くなっても、EVの総所有コストはガソリン車を下回る。ただし、コックス・オートモーティブの調査では、米国消費者の多くがEVへの乗り換えを本気で検討するのは1ガロン6ドルに達してからだという結果も出ている。「関心」と「決断」の間には、まだ距離がある。

車を持たない人も無縁ではない

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ここで視点を変えてみたい。EVオーナーでも自動車ユーザーでもない人——たとえば、公共交通機関が発達した都市に暮らし、車を必要としない人——にとって、ガソリン価格の高騰は本当に「他人事」なのだろうか。

そうではない。海上輸送のコストに占める燃料費の割合は50〜60%に上る。天然ガスを原料とする肥料の価格は、戦争開始以降、特にヨーロッパで大幅に上昇している。国際航空運送協会(IATA)によれば、ジェット燃料の価格はこの1か月でほぼ2倍になった。航空会社の運営コストの約4分の1を占める燃料費が跳ね上がれば、航空運賃や航空便で運ばれる荷物の価格も遅かれ早かれ上がる。

さらに深刻なのは、こうしたコスト増が経済全体の減速につながる可能性だ。景気が悪化すれば、風力や太陽光発電などのグリーンエネルギープロジェクトへの資金調達も難しくなる。住宅ローンや自動車ローンの金利が上がれば、EVを「買おう」と思っていた人の決断を遅らせることにもなりかねない。

これは今回が初めてではない。ハーバード大学上級研究員のElaine Buckberg氏が指摘するように、過去5年間で化石燃料価格の大きな乱高下は今回で2度目だ。1度目は2022年夏、ロシアのウクライナ侵攻のときだった。繰り返される不安定さが、消費者の意識に「次こそEVに」という気持ちを醸成している面もある。

日本市場への視点

日本にとってこの状況は、複数の意味で注目に値する。

トヨタはハイブリッド車で世界をリードしてきたが、純粋なBEV(バッテリー電気自動車)分野では出遅れを指摘されることも多い。ガソリン価格の高騰がグローバルなEVシフトを加速させるなら、トヨタホンダ日産がそのトレンドにどう乗るか——あるいは乗り遅れるか——は、日本経済全体にとっても重要な問いになる。

また、日本はエネルギーの多くを輸入に依存しており、化石燃料価格の上昇は輸入コストの増大を通じて、物価上昇(インフレ)に直結しやすい。食料品から航空券まで、家計への影響は静かに、しかし確実に広がる。

高齢化が進む日本では、地方在住の高齢者ほど自家用車への依存度が高い。ガソリン代の上昇は、そうした層の生活を直撃する。一方で、EV普及のための充電インフラ整備はまだ途上にある。「EVに乗り換えたくても乗り換えられない」という現実が、日本の地方では特に根深い。

本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。

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