ドバイ発の航空券不足、出稼ぎ労働者が隣国へ
ドバイの航空券不足により、外国人労働者がオマーンやサウジアラビアから帰国便を探す現象が拡大。中東の労働力構造と航空業界の課題を探る
ラメシュ・クマールさんは、ドバイの建設現場で5年間働いた後、故郷のインドへ帰国しようとしていた。しかし、ドバイ国際空港からの直行便は満席。結局、彼は400キロ離れたオマーンのマスカット空港まで車で向かい、そこから帰国便を確保した。
「ドバイの半分が予約を取ろうとしている」-この表現が示すのは、単なる航空券不足ではない。250万人を超える外国人労働者が暮らすドバイで起きている、より深刻な構造的問題だ。
数字が語る現実
UAEの人口1000万人のうち、実に88%が外国人だ。その多くがインド、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン出身の労働者で、建設業、サービス業、物流業に従事している。年末年始や宗教的祭日には、これらの労働者が一斉に帰国を希望するため、航空需要が急激に高まる。
問題は供給側にもある。エミレーツ航空やエティハド航空といった地域の主要航空会社は、収益性の高い欧米路線を優先する傾向があり、南アジア路線の座席供給が需要に追いつかない状況が続いている。
隣国への「航空券難民」
結果として、多くの労働者がオマーンのマスカットやサウジアラビアのダンマームまで陸路で移動し、そこから帰国便を探すという現象が拡大している。この「航空券難民」とも呼べる状況は、中東地域の労働力構造の歪みを浮き彫りにしている。
オマーンの旅行代理店によると、ドバイからの「迂回需要」により、同国の航空券価格も30-40%上昇している。一方で、オマーン経済にとっては予期せぬ観光収入となっており、複雑な経済効果を生んでいる。
日本への示唆
日本もまた、深刻な労働力不足に直面している。技能実習生や特定技能制度により、東南アジアからの労働者受け入れを拡大しているが、ドバイの状況は重要な教訓を提供する。
労働者の帰国需要を見越したインフラ整備、航空会社との連携、そして何より、外国人労働者を単なる「労働力」ではなく、生活者として捉えた政策設計が必要だ。JALやANAは既に東南アジア路線を強化しているが、今後さらなる需要増加が予想される。
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