金投資の98%が「紙の金」という隠れたリスク
金価格急騰の裏で、投資家の98%が実際の金を所有していない現実。ブロックチェーン技術が解決策となるか?
金価格が過去12ヶ月で80%以上上昇し、最も好調な資産の一つとなっている。しかし、投資家の多くが見落としている重大なリスクがある。
AurelionのCEOであるビョルン・シュミットケ氏によると、金投資家の98%が実際には金の延べ棒を所有していない。代わりに「紙の金」、つまり金ETFの株式を保有しているだけだという。
「紙の金」が抱える構造的問題
投資家が金ETFを購入する際、物理的な金を所有していると考えがちだ。しかし実際は「あなたに金を借りている」という借用証書を手にしているに過ぎない。
シュミットケ氏は「投資家は数十億ドル相当の紙切れを保有しているが、どの金の延べ棒を所有しているかわからない」と指摘する。現在のシステムは数十年間機能してきたが、それは投資家がほとんど実物の引き渡しを要求しないからだ。
問題は危機的状況で明らかになる。法定通貨が急激に価値を失い、投資家が実物の金を求めて殺到した場合、どうなるだろうか?
日本の投資家への影響
日本では個人投資家の金投資が増加している。日本貴金属マーケット協会によると、金地金の小売販売は近年拡大傾向にある。しかし、多くの日本人投資家も海外の金ETFを通じて投資しており、同様のリスクを抱えている。
「数十億ドル相当の物理的な金を一日で移動させることは不可能だ」とシュミットケ氏は警告する。所有権の証明がなければ、さらに大きな物流的ボトルネックが生まれ、パニックが投資家を償還可能な資産に向かわせれば市場の破綻につながる可能性がある。
ブロックチェーンが提供する解決策
AurelionはTether Gold(XAUT)への移行を進めている。XAUTはスイスの金庫に保管された物理的な金に裏付けられたブロックチェーンベースのトークンだ。
従来の「紙の金」とは異なり、各XAUTトークンは特定の金の延べ棒と結び付けられている。ブロックチェーン上でその金への「権利証書」を数秒で世界中に転送できる。
不動産投資に例えると、従来の方法は単に株式を購入するだけで権利証書を持たない状態だ。一方、トークン化された金は最初から権利証書を持っているため、どの金の延べ棒を所有しているか明確にわかる。
長期的な価値保存戦略
Aurelionは現在33,318XAUTトークン(約1億5,300万ドル相当)を保有している。同社は短期的な裁定取引ではなく、長期的な価値の複利効果を重視している。
シュミットケ氏は「金をどのように所有するかは、金を所有するかどうかと同じくらい重要だ」と述べる。XAUTは採用サイクルの初期段階にあり、拡大の余地があるとみている。
日本の投資家にとって、これは単なる技術革新以上の意味を持つ。高齢化社会において資産保全の重要性が高まる中、真の所有権を確保できる投資手段は魅力的な選択肢となるだろう。
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