ステーブルコイン「利回り戦争」、ホワイトハウス調停でも決着つかず
暗号資産業界と銀行業界がステーブルコインの利回り提供を巡り対立。ホワイトハウスでの調停会議でも妥協点見つからず、規制法案の行方は不透明に。
193億円の政治資金を持つ暗号資産業界と、預金事業の根幹を守ろうとする銀行業界。この2つの巨大勢力が、ステーブルコインの「利回り」という一点で真っ向から対立している。
2月10日、ホワイトハウスで開催された調停会議は、期待された妥協点を見つけることができなかった。コインベース、リップル、a16zなどの暗号資産大手と、バンク・ポリシー・インスティテュートやアメリカ銀行協会の代表者が同じテーブルに着いたものの、溝は埋まらなかった。
何が問題なのか?
争点は明確だ。暗号資産プラットフォームにとって、ステーブルコインの利回り提供はビジネスモデルの中核である。一方、銀行業界はこれを「預金事業への脅威」と捉えている。
会議に参加した関係者によると、暗号資産業界側は妥協案を持参したが、銀行業界側は「共通点を見つける意図を持って来なかった」という。ホワイトハウスが前週に「妥協のアイデアを持参するよう」要請したにもかかわらず、である。
デジタル資産市場明確化法案(Clarity Act)の成立には、上院銀行委員会での過半数の支持が必要だ。しかし、この利回り問題が数か月にわたって足かせとなっている。
日本への示唆
日本の金融業界にとって、この対立は他人事ではない。日本でも三菱UFJやみずほなどのメガバンクが、デジタル通貨の実証実験を進めている一方で、暗号資産取引所の成長も続いている。
アメリカでの規制動向は、日本の金融庁の政策にも影響を与える可能性が高い。特に、ステーブルコインの位置づけについて、日本は2023年から独自の規制フレームワークを運用しているが、国際的な調和も重要な課題だ。
政治的な複雑さ
ステーブルコイン利回りだけが問題ではない。民主党議員らは、ドナルド・トランプ大統領の個人的な暗号資産利益を理由に、政府高官の暗号資産関与禁止も要求している。
さらに、暗号資産の違法資金洗浄対策強化や、商品先物取引委員会(CFTC)の委員完全配置も条件として挙げられている。
パトリック・ウィット大統領暗号資産顧問は「近々共通点が見つかる」と楽観視しているが、同時に「大統領を標的とする取り組みは支持しない」と明言している。
時間との競争
法案成立には実務的な障害もある。上院は国土安全保障省の予算問題で紛糾しており、中間選挙前の長期休会が近づくにつれ、重要法案を処理する時間は限られている。
銀行業界団体は会議後の声明で「金融革新を受け入れつつも、安全性と健全性を損なってはならない」と立場を改めて表明した。一方、暗号資産業界は「建設的な対話が続いている」と希望的な見方を示している。
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