半導体株急騰の裏で見えた「AI戦争」の新局面
ASML、SKハイニックス好決算とNvidia中国承認報道で半導体株が急騰。メモリ不足とAI需要が生む新たな投資機会とリスクを分析。
158億ドル。これは半導体製造装置大手ASMLが発表した2024年第4四半期の受注額です。予想を大幅に上回るこの数字が、28日の市場で半導体関連株の急騰を引き起こしました。
好決算ラッシュが示すAI需要の現実
ASMLの株価は朝の取引で5%上昇し、韓国のSKハイニックスも2025年通年で過去最高益を記録したことを受けて5%超の上昇で取引を終えました。さらにVanEck半導体ETFはプレマーケットで3%を超える上昇を見せています。
この好調な業績の背景にあるのは、深刻なメモリチップ不足です。消費者向け電子機器とデータセンターの両方でメモリチップの需要が急増する中、供給が追いつかない状況が続いています。SKハイニックスのような世界最大級のメモリメーカーにとって、この需給ギャップは価格上昇という形で直接的な利益をもたらしました。
一方、ASMLが手がける極紫外線(EUV)リソグラフィ装置は、世界最先端チップの製造に不可欠な技術です。AI関連チップの生産拡大を目指すメーカーにとって、ASMLの装置は必要不可欠な存在となっています。
中国市場での「静かな勝利」
半導体株上昇のもう一つの要因は、中国がNvidiaのH200チップの販売を承認したというロイターの報道でした。バイトダンス、アリババ、テンセントといった中国の大手テック企業がH200システムの購入許可を得たとされています。
これはNvidiaにとって重要な展開です。米国政府は今年初めにH200の輸出を許可すると発表していましたが、中国政府は自国企業に国産代替品の購入を推奨していました。Nvidiaは5月時点で、中国への輸出規制により80億ドルの売上損失が見込まれると発表していただけに、この承認は同社の株価を1.6%押し上げる材料となりました。
日本企業への波及効果を考える
今回の半導体株急騰は、日本の関連企業にも大きな影響を与える可能性があります。ソニーのイメージセンサー事業、東京エレクトロンの製造装置、信越化学の半導体材料など、日本企業も半導体サプライチェーンの重要な一角を担っています。
メモリチップ不足が続く中、日本企業がどのような戦略を取るかが注目されます。自動車メーカーは既に半導体不足の影響を受けており、トヨタやホンダなどは調達戦略の見直しを迫られています。
台湾のTSMCも今月初めに過去最高の第4四半期利益を発表しており、半導体業界全体の好調さを裏付けています。しかし、この好況がいつまで続くかは予測困難です。
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