ブラックロックが動いた——金融の「所有権」が変わる日
世界最大の資産運用会社ブラックロックが、トークン化ファンドの新規申請を2件提出。30億ドル超に成長するRWA市場の今と、日本の金融機関が直面する変化を読み解く。
「あなたが保有する投資信託の持分証明書は、いつかイーサリアム上のトークンになるかもしれない。」——これは遠い未来の話ではなくなってきました。
ブラックロックが提出した2つの申請
2026年5月9日、世界最大の資産運用会社であるブラックロック(運用資産総額14兆ドル)は、米国証券取引委員会(SEC)に対して2件の新たなファイリングを提出しました。
1件目は「BlackRock Daily Reinvestment Stablecoin Reserve Vehicle」という新ファンドの設立申請です。現金、短期米国債、翌日物レポ契約を投資対象とし、複数のパブリックブロックチェーンに接続された許可型システムを通じて「OnChain Shares(オンチェーン株式)」を発行します。移転代理人はSecuritize Transfer Agent LLCが担い、ウォレットアドレスと投資家の本人確認情報をオフチェーンで紐付けることで、公式の株主名簿を管理します。最低投資額は300万ドルと、機関投資家向けの設計です。
2件目は、既存の約70億ドル規模のマネーマーケットファンド「BlackRock Select Treasury Based Liquidity Fund」に対して、オンチェーン持分クラスを追加する申請です。こちらはイーサリアムのERC-20トークン規格を採用し、移転代理人のBNYメロン・インベストメント・サービシングがブロックチェーン上で公式の株主登録を管理します。
なぜ今、この動きが重要なのか
この2件の申請を単なる「新商品の追加」と見るのは、少々もったいないかもしれません。
背景には、現実世界の資産(Real World Assets、RWA)のトークン化市場が過去1年で200%超の成長を遂げ、総額300億ドルを突破したという事実があります(rwa.xyzデータ)。さらにボストン コンサルティング グループとリップルの共同レポートは、この市場が2033年までに18.9兆ドルに達すると試算しています。
ブラックロック自身も、2024年にSecuritizeと共同でトークン化マネーマーケットファンド「BUIDL」を立ち上げ、現在の運用資産は約25億ドルに達しています。BUIDLはすでに暗号資産市場で担保資産として広く活用されており、今回の新申請はその延長線上にある、より大規模な展開と言えます。
ブラックロックCEOのラリー・フィンク氏はかねてより「トークン化は金融インフラを近代化する手段だ」と繰り返し主張しています。今回の申請は、その言葉が具体的なビジネス行動に変換されたものです。
日本の金融機関にとっての意味
ここで、日本市場への視点を加えてみましょう。
日本では、野村ホールディングスや三菱UFJフィナンシャル・グループがすでにブロックチェーンを活用した債券発行や資産管理の実証実験を進めています。金融庁も2023年以降、セキュリティトークンに関する規制整備を継続的に行っており、法的な土台は少しずつ整いつつあります。
しかし、日本の機関投資家が直面する課題は「技術」より「慣習」にあるかもしれません。T+2の決済サイクル、紙ベースの契約慣行、そして「新しい仕組みへの慎重さ」という文化的な傾向——これらはブロックチェーン技術の導入スピードを左右する要因になり得ます。
一方で、高齢化社会における資産承継や、24時間取引が可能なオンチェーン持分は、日本の個人投資家層にとっても長期的な意味を持ちます。ただし、今回のブラックロックの申請は最低投資額300万ドルと機関投資家向けであり、リテール投資家への直接的な影響は当面限定的です。
承認と実際のサービス開始にはSECの審査プロセスが必要であり、どのブロックチェーンが採用されるかも未公表のままです。制度と技術の両面で、まだ多くの不確定要素が残っています。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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