銀行が暗号資産ウォレットを提供したら、77%が利用意向
YouGov調査でステーブルコイン利用者の77%が銀行アプリ内でのウォレット開設を希望。従来金融と暗号資産の融合が加速する可能性を探る
77%という数字が、金融業界の未来を予告している。ステーブルコイン利用者の大多数が、もし銀行がウォレットサービスを提供すれば利用したいと答えたのだ。
利用者が求める「普通の銀行サービス」
YouGovが実施した調査では、4,658人の回答者のうち77%が、銀行やフィンテックアプリ内で暗号資産・ステーブルコインウォレットが利用可能になれば開設すると回答した。さらに71%がステーブルコイン連動デビットカードの利用を希望している。
この調査はCoinbaseとステーブルコインインフラ提供企業BVNKが委託し、2025年9月から10月にかけて実施された。注目すべきは、ステーブルコイン利用者が年収の平均35%をこれらのトークンで保有していることだ。
特にフリーランサーや契約労働者の73%が、ステーブルコインによって国際的なクライアントとの仕事がしやすくなったと報告している。これは単なる投機的利用を超え、実際の経済活動における決済手段としての価値を示している。
規制環境の変化が後押し
ステーブルコインの時価総額は2025年初頭から50%成長し、10月には初めて3,000億ドルを突破した。この成長を支えているのは、規制環境の整備だ。
米国のGENIUS Actのような正式な規制枠組みの拡大により、銀行がウォレットなどの暗号資産ツールを提供する自信を得られる可能性がある。CoinbaseのAlec Lovett氏とJohn Turner氏は報告書で「透明性とサイバーセキュリティ基準を明文化することで、これらの資産を信頼できる現金同等物として分類している」と述べている。
日本の金融機関への示唆
日本では、三大メガバンクがデジタル決済やフィンテック分野で積極的な投資を続けている。三菱UFJ銀行の独自ステーブルコイン「MUFG Coin」の実証実験や、みずほ銀行のデジタル通貨研究など、既に基盤となる取り組みが進んでいる。
今回の調査結果は、日本の金融機関にとって重要な示唆を与える。顧客は暗号資産を「特別なもの」ではなく、「普通の金融サービス」として扱ってほしいと考えているのだ。BVNKが要約したように、「利用者はステーブルコインが既に知っている通貨のように振る舞うことを望んでいる」。
高齢化が進む日本社会において、若い世代の金融ニーズに応えることは銀行の競争力維持に不可欠だ。一方で、日本特有の現金文化や金融規制との調和も重要な課題となる。
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