ホルムズ海峡:日本は「関与」を求められている
トランプ大統領が日本・韓国・中国に対しホルムズ海峡の安全確保への関与を要求。エネルギー輸入の約2割を依存する日本にとって、これは外交的選択の問題ではなく、経済的生存の問題かもしれない。
日本が輸入する石油の約8割は、幅わずか33キロメートルの海峡を通過している。
2026年3月20日、トランプ大統領はホワイトハウスでの記者会見で、日本・韓国・中国に対し、ホルムズ海峡の安全確保に「関与しなければならない」と明言しました。「我々はあの海峡を使っていない。必要としていない。ヨーロッパが必要としている。韓国、日本、中国、そして多くの国々がそうだ」——その言葉は短く、しかし重く響きました。
なぜ今、この発言が出たのか
背景には、イランをめぐる急速な情勢悪化があります。アメリカとイスラエルは今年2月下旬からイランへの軍事作戦を展開しており、イランはその報復としてホルムズ海峡を事実上封鎖しています。この海峡は世界の石油供給量の約5分の1を担う、文字通り「世界のエネルギーの咽喉部」です。
トランプ氏は今週初め、NATOや他の同盟国が海峡防衛への協力要請に消極的だとして、「もはや他国の海軍支援は必要ない」と述べていました。しかし今回の発言では矛先を変え、エネルギーを最も依存しているアジア諸国——日本、韓国、中国——に直接「応分の負担」を求めたのです。
韓国の外務大臣趙氏は同日、アメリカが韓国に対して艦船派遣を要請したかどうかについて、明確な回答を避けました。この「沈黙」自体が、各国政府が置かれた難しい立場を物語っています。
日本にとって何を意味するのか
数字で考えてみましょう。日本はエネルギー自給率が極めて低く、原油輸入の大部分を中東に依存しています。ホルムズ海峡が長期にわたって機能不全に陥れば、トヨタや新日鉄住金のような製造業はもちろん、家庭の電気代や物価にも直接的な影響が及びます。
しかし問題は経済だけではありません。日本の自衛隊が中東の軍事的緊張地帯に艦船を派遣することは、憲法上の制約と国内の政治的合意を必要とする、極めて慎重な判断を伴います。2015年の安全保障関連法により「存立危機事態」などの概念は拡張されましたが、実際に海外の紛争に関与することへの国民的な抵抗感は依然として根強いものがあります。
一方で、アメリカとの同盟関係を維持しながらこの要求を無視することも、外交的に容易ではありません。トランプ氏が「韓国を多く助けてきた」と述べたように、日本に対しても同様の「貸し借り」の論理を持ち出す可能性は十分あります。
異なる立場から見ると
中国の視点は特に複雑です。中国もホルムズ海峡に強く依存しながら、イランとは経済的・外交的に深い関係を持っています。アメリカ主導の海峡防衛に参加することは、事実上イランへの敵対を意味しかねず、中国にとってはほぼあり得ない選択肢です。
ヨーロッパはどうでしょうか。トランプ氏は「ヨーロッパも必要としている」と述べながら、NATOへの協力要請は事実上棚上げにしています。これは「アジアにやらせる」という意図的な戦略なのか、それとも交渉の布石なのか、見方が分かれます。
元アメリカ政府高官たちからは、イラン戦争に伴いアメリカが「インド太平洋の抑止力資産」を縮小していることへの懸念も上がっています。日本にとって、中東への関与は北朝鮮・中国への抑止力という別の安全保障問題と、直接トレードオフの関係に立ちます。
記者
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