トランプ氏、イラク元首相復帰に警告「支援停止も」
トランプ大統領がイラン寄りのマリキ元首相復帰に強く反発。米国の中東戦略と各国の主権の境界線が問われている。
75歳の政治家の復帰が、なぜアメリカ大統領を激怒させるのか。
ドナルド・トランプ大統領は1月27日、イラクの元首相ヌーリ・マリキ氏が首相に復帰した場合、米国はイラクへの支援を停止すると警告した。マリキ氏は数日前、イラク議会最大のシーア派勢力「調整枠組み」から首相候補に指名されたばかりだった。
アメリカが恐れる「イラン寄り」の復帰
トランプ氏は自身のSNS「Truth Social」で「前回マリキが権力を握った時、イラクは貧困と完全な混乱に陥った。それを再び起こしてはならない」と投稿。さらに「彼の狂気的な政策と思想のせいで、もし当選すれば、アメリカはもはやイラクを支援しない」と断言した。
マリキ氏は2006年から2014年まで首相を務めたダアワ党の重鎮で、その間スンニ派やクルド人勢力との権力闘争が激化し、米国との関係も悪化した。2014年にISIS(イスラム国)がイラク領土の大部分を占領した後に辞任したが、その後もイラン系武装組織との密接な関係を維持している。
石油収入という「切り札」
米国の圧力は言葉だけではない。ロイター通信によると、ワシントンはイラン系武装組織が次期政府に含まれた場合、イラクの高官に制裁を科すと脅している。
アメリカが持つ最大の切り札は、イラクの石油輸出収入の管理権だ。2003年の米軍侵攻後の取り決めにより、イラクの石油収入の大部分はニューヨーク連邦準備銀行に保管されている。これは事実上、米国がイラク経済の生命線を握っていることを意味する。
主権と影響力の境界線
米国議会関係者は書簡で「首相選出はイラクの決定だが、米国は米国の利益に沿って次期政府に対する独自の主権的決定を下す」と述べた。この表現は、形式的には内政不干渉を謳いながら、実質的には強い圧力をかける微妙な外交的バランスを示している。
イラクは長年、最も近い2つの同盟国であるワシントンとテヘランの間で綱渡りを続けてきた。シーア派が多数を占める同国にとって、イランとの宗教的・文化的つながりは無視できない一方、経済復興には米国の支援が不可欠だ。
地域全体への波紋
今回の圧力は、トランプ政権のより広範な中東戦略の一環でもある。イラン系勢力の影響力削減は、イスラエルとの関係正常化を進めるアブラハム合意の延長線上にあり、地域の勢力バランス再構築を狙っている。
しかし、あまりに露骨な圧力は逆効果を生む可能性もある。イラク国民の間では「外国の干渉」への反発が高まっており、かえってイラン寄りの政治勢力を利することになりかねない。
記者
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