メキシコ、キューバへの石油供給停止か 米国の圧力下で揺れる「連帯」
メキシコのシェインバウム大統領がキューバへの石油供給について曖昧な発言。トランプ政権下で中南米の石油外交が大きく変化している背景とは。
1月の石油輸送がキャンセルされた――複数のメディアが報じたこのニュースに、メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は明確な答えを避けた。火曜日の定例記者会見で「キューバとの連帯を続ける」と述べる一方、具体的な石油供給の継続については「適切な時期に報告する」と曖昧な回答に終始した。
変わりゆく石油外交の構図
キューバは長年、ベネズエラとメキシコからの割安な石油供給に依存してきた。60年以上続く米国の経済制裁により、島国キューバにとってこれらの石油は文字通り「生命線」だった。
しかし状況は劇的に変化した。今月、ドナルド・トランプ大統領がニコラス・マドゥロベネズエラ大統領の「拉致」を発表し、ベネズエラからキューバへの石油供給は約1ヶ月前から完全に停止している。船舶データと国営石油会社PDVSAの内部文書がこの事実を裏付けている。
昨年、メキシコはキューバに日量約5,000バレルの石油を供給していた。ベネズエラからの供給が途絶えた今、メキシコの石油はキューバの電力供給を維持する唯一の頼みの綱となっている。
「人道的理由」という建前と現実
シェインバウム大統領は石油供給を「人道的決定」と位置づけ、「主権的決定」であることを強調した。国営石油会社ペメックスの契約に基づくか、政府の人道的判断によるものだと説明している。
一方、ロイター通信によると、メキシコ政府内では石油供給継続が米国との関係悪化を招く可能性への懸念が高まっている。トランプ大統領は火曜日、「キューバは間もなく破綻する」と記者団に語り、ベネズエラが最近石油も資金もキューバに送っていないことを確認した。
日本から見た中南米エネルギー地政学
日本にとって、この中南米の石油外交の変化は遠い出来事ではない。トヨタやホンダなどの日本企業はメキシコに大規模な製造拠点を持ち、地域の政治的安定は事業継続の重要な要素だ。
また、日本は長年キューバとの外交関係を維持してきた数少ない先進国の一つでもある。2016年には安倍首相(当時)がキューバを訪問し、経済協力を約束した経緯もある。米国の対キューバ政策強化は、日本の中南米外交にも微妙な影響を与える可能性がある。
エネルギー安全保障の観点から見ると、一国の政治的決定が他国のエネルギー供給を左右する構造は、日本が直面する課題と重なる部分がある。ロシア・ウクライナ戦争後のエネルギー調達多様化の重要性を、この事例は改めて浮き彫りにしている。
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