ウクライナ戦争3年目、トランプ和平構想の現実と限界
トランプ政権の和平委員会が初会合を開催したが、ロシアの攻撃は激化。欧州各国の参加拒否で、和平への道筋は見えない状況が続く。
戦争が始まって3年が経つ今も、ウクライナの前線では448回もの攻撃が一日で行われている。トランプ大統領が掲げる「24時間以内の和平実現」という公約は、現実の戦場とどれほどかけ離れているのだろうか。
激化する戦闘と和平への矛盾
ザポリージャ州では34の集落がロシア軍の攻撃を受け、6歳の子どもが負傷した。ヘルソン州でも5人が負傷し、7棟の高層建築が損傷を受けている。一方で、ワシントンではトランプ政権の和平委員会が初会合を開いていた。
しかし、この会合には重要な参加者が欠けていた。ベラルーシは「必要なビザが発給されなかった」として参加を見送り、フランスは「ガザ問題に焦点を戻すまで参加しない」と表明。複数のEU加盟国も、プーチン大統領への招待を理由に参加を拒否している。
欧州の分裂と日本への影響
フランス外務省は、欧州委員会が独断で委員を派遣したことに「驚き」を表明した。これは欧州内部の調整不足を露呈している。一方で、スウェーデンは129億クローナ(約1420億円)の軍事支援パッケージを発表するなど、支援継続の姿勢を明確にしている。
日本にとって、この状況は複雑な意味を持つ。エネルギー価格の高騰は既に日本経済に影響を与えており、ハンガリーがウクライナへの電力・ガス輸出停止を検討していることで、欧州のエネルギー危機がさらに深刻化する可能性がある。
情報戦の新たな戦場
興味深いのは、ロシア連邦保安庁がテレグラムの創設者パヴェル・ドゥーロフを標的にし始めたことだ。このメッセージアプリは、ロシア軍とウクライナ軍の双方が戦況報告に使用している。テレグラム側は「暗号化の突破は確認されていない」と反論しているが、情報戦の舞台がサイバー空間に拡大していることを示している。
オランダ情報機関も、ロシアによるサイバー攻撃、破壊工作、影響力工作、偽情報キャンペーンの脅威が増大していると警告している。これらの「ハイブリッド戦争」は、物理的な戦場を超えて展開されている。
記者
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