トランプ政権が気候変動の科学的根拠を覆そうとする理由
EPA温室効果ガス規制の根拠となる「危険性認定」撤回の試み。科学と政治の境界線で何が起きているのか。
2009年、アメリカ環境保護庁(EPA)は温室効果ガス排出が「公衆の健康と福祉を危険にさらす」と正式に認定しました。この「危険性認定」は、その後17年間にわたってアメリカの気候変動対策の法的根拠となってきました。
しかし今、トランプ政権はこの認定そのものを撤回しようとしています。単なる規制緩和ではなく、気候変動対策の科学的基盤を根本から覆そうという前例のない試みです。
最高裁判決から始まった道のり
この認定の起源は2007年の連邦最高裁判決「マサチューセッツ州対EPA」にさかのぼります。当時の最高裁は共和党系大統領が任命した判事が7人を占めていましたが、二酸化炭素などの温室効果ガスを「大気清浄法の対象となる汚染物質」と認定しました。
最高裁はEPAに明確な指示を出しました。「自動車からの排出が公衆の健康と福祉を危険にさらすかどうかを判断せよ」と。ただし、規制を命じたわけではありません。EPAが「危険」と認定した場合にのみ、法律上の規制義務が生じる仕組みでした。
EPAは2年間の科学的検証を経て、2009年12月7日に危険性認定を発表。二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素など6種類の温室効果ガスが「現在と将来の世代の公衆の健康と福祉を脅かす」と結論づけました。
科学的根拠への挑戦
今回の撤回の試みで注目すべきは、その手法です。エネルギー長官クリス・ライトは、気候科学の見直しを行う5人の研究者を自ら選出したと公言しています。
ところが1月30日、連邦判事はこの手法が1972年制定の連邦諮問委員会法に違反すると判断しました。政府に政策助言を行う専門家委員会は、公開の場で作業を行わなければならないという法律です。
選ばれた5人の研究者は全員、主流の気候科学に批判的な立場で知られていました。彼らが2025年夏に発表した報告書は、引用の不正確さや現在の科学的知見を適切に反映していないとして広く批判されています。
強化される科学的証拠
皮肉なことに、2009年の危険性認定を支える科学的証拠は、当時よりもさらに強固になっています。世界は記録的な暑さの3年間を経験したばかりです。
2025年の全米科学アカデミーの見直しでは、危険性認定を支持する証拠が2009年当時よりも「さらに強力」になったと結論づけられました。2019年の査読済み評価でも同様の結論が出ています。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書(2023年)は、世界各国の数百人の科学者による研究をまとめ、「人為的気候変動の悪影響は今後も激化し続ける」と警告しています。
日本への波及効果
アメリカの気候政策転換は、日本企業にも大きな影響を与える可能性があります。トヨタやホンダなどの自動車メーカーは、アメリカ市場向けの排出ガス基準に合わせて技術開発を進めてきました。規制が後退すれば、電動化投資の方向性を見直す必要に迫られるかもしれません。
一方で、日本政府は2050年カーボンニュートラルの目標を維持しており、アメリカの政策転換が日本の気候政策に直接影響する可能性は低いとみられます。むしろ、気候技術分野でのリーダーシップを発揮する機会として捉える見方もあります。
法廷での長期戦
仮にEPAが危険性認定を撤回しても、即座に法廷で争われることは確実です。気候変動の経済学を40年以上研究してきた専門家は、「最終的には最高裁判所での判断に委ねられる」と予測しています。
訴訟は通常、数年間にわたって続きます。その間、アメリカの気候変動対策は後退し続ける可能性が高く、科学プログラムの予算削減や人材流出も懸念されています。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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