「敵を殺せ、弁護士はいらない」―アメリカ国防長官の危険な言葉
ヘグセス国防長官の過激な発言が示すアメリカ軍の新たな方向性。国内展開時の軍事力行使への懸念が高まっている。
130万人の軍人を統率するアメリカ国防長官が、自国民に向けて「我々があなたたちを100%支持する」と宣言した。相手は移民取締局(ICE)の捜査官たち。彼らがミネソタ州で看護師を射殺した直後のことだった。
ピート・ヘグセス国防長官のこの発言は、単なる政治的支持表明を超えた重要な意味を持つ。アメリカ軍が国内で展開される際、どのような姿勢で臨むのかを示唆しているからだ。
「戦争長官」の新たな軍事哲学
ヘグセスは国防長官という肩書きを好まない。自分を「戦争長官」と呼ばせている。この言葉の選択は偶然ではない。彼の軍事哲学の核心を表している。
「敵には弾丸を、弁護士はいらない」。これがヘグセスの信念だ。イラクとアフガニスタンでの従軍経験から、彼は軍事法務官(JAG)を「役立たず」と呼び、交戦規則が「片手を縛って戦わせている」と批判してきた。
昨年秋、バージニア州の海兵隊基地で数百人の将校を前にヘグセスはこう宣言した。「我々は戦闘員の手を解き放ち、敵を威嚇し、士気を挫き、狩り、殺す。もう政治的に正しい過度な交戦規則はない。常識と最大の殺傷力、そして戦闘員への権限があるだけだ」
国内展開への懸念
トランプ大統領は反乱法の発動を示唆している。これにより軍隊が国内で法執行活動を行うことが可能になる。ヘグセスはすでにノースカロライナ州とアラスカ州の部隊に展開準備命令を出している。
問題はヘグセスの言動にある。ミネソタ州の事件で彼は抗議する市民を「狂人ども」と呼んだ。軍が守るべき同じアメリカ国民を悪魔化する発言だ。一方、ミネソタ州が州兵を展開した際、兵士たちはコーヒーとドーナツを配っていた。
デューク大学の文民統制専門家ピーター・フィーバー教授は警告する。「国防長官がこれほど党派的な争いに関与するのは伝統を破るものだ。これは非党派的であるべき軍の職業倫理に圧力をかける」
軍事司法制度への介入
ヘグセスは陸軍、海軍、空軍の最高法務官を解任した。戦争犯罪で有罪判決を受けた兵士への寛大な処遇を主張してきた彼が、軍事司法制度そのものを無視する可能性を示唆している。
元海兵隊大佐マーク・カンシアン氏は懸念を表明する。「ストレスや欲求不満の瞬間に不適切、さらには犯罪的な行為をする者が必ず現れる。その責任を問うことができるかが試金石になる」
世界への影響
日本にとって、同盟国アメリカの軍事指導部の変化は重要な意味を持つ。ヘグセスの「最大殺傷力」重視の姿勢は、日米共同作戦や地域安全保障にどのような影響を与えるのか。
特に注目すべきは、国際法や交戦規則への軽視だ。これまで日本の自衛隊が学んできたアメリカ軍の規律や法的枠組みへの配慮が、根本的に変わる可能性がある。
記者
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