「骨で感じる」まで続く戦争——トランプ政権のイラン攻撃が世界に問うもの
米軍のイラン軍事作戦が14日目に突入。トランプ大統領は「来週さらに激しく攻撃する」と宣言。ホルムズ海峡封鎖が世界の石油供給の約2割に影響し、日本経済への波及も現実味を帯びる。
「骨で感じたとき」——世界が注目する戦争の終わり方を、一国の指導者がそう表現した。
2026年3月13日、ドナルド・トランプ米大統領はFoxニュースラジオのインタビューで、米軍によるイラン攻撃作戦が開始から14日目に入ったと明かしつつ、「来週、イランを非常に激しく攻撃する」と宣言した。戦争がいつ終わるかという問いに対し、「骨で感じたときだ」と答えたこの言葉は、世界中の安全保障専門家に深刻な問いを突きつけている。明確な終戦条件とは何か、と。
何が起きているのか——14日間の軍事作戦
米軍はこの2週間、イランのミサイル能力、海軍戦力、そして核開発への道筋を断つことを目標に軍事作戦を継続してきた。トランプ大統領は「すでに壊滅的な打撃を与えた。再建には何年もかかるだろう」と述べ、ミサイル、ドローン、製造施設の破壊で大きな成果を上げたと主張している。
一方、イラン側も黙っていない。新最高指導者のアヤトラ・モジュタバ・ハメネイ師は木曜日、国営テレビを通じて声明を発表し、世界の石油輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖を「レバー(てこ)」として使い続けると宣言した。しかしその声明はアンカーによって代読されたため、師の健康状態をめぐる憶測が広がっている。ピート・ヘグセス国防長官は師が「負傷し、おそらく顔に傷を負っている」と述べており、トランプ大統領も「何らかの形で生きているだろうが、傷ついている」と語った。
弾薬不足への懸念については、「事実上、無制限の弾薬がある。永遠に続けられる」とトランプ大統領は一蹴した。
なぜ今、日本にとって重要なのか
ホルムズ海峡は、世界の石油供給の約20%が通過する海上交通の要衝だ。日本にとってこれは抽象的な数字ではない。日本が輸入する原油の約9割は中東から来ており、その大部分がこの海峡を経由する。封鎖が長引けば、エネルギーコストの上昇は製造業、物流、そして家庭の光熱費に直撃する。
トヨタやホンダなどの自動車メーカーは生産コストの増大に直面し、日本郵船や商船三井といった海運企業は航路変更や保険料高騰という現実的な問題に向き合っている。すでに国内では、政府が燃料価格上限措置の導入を検討しているという報道も出ており、韓国政府が同様の措置を急ぐ動きとも共鳴している。
トランプ大統領はホルムズ海峡での米海軍によるタンカー護衛について「必要であればそうする」と述べるにとどめた。この曖昧な言葉が、エネルギー輸入依存国にとって不安の種となっている。
多様な視点から読む
米国内では、11月の中間選挙を控えたタイミングでの長期化する軍事作戦が、政治的な計算とどう絡み合っているかという視点がある。ガソリン価格の上昇は有権者の不満に直結するからだ。トランプ大統領が「必要であれば護衛する」と述べた背景には、この国内政治的圧力が透けて見える。
イラン国内では、最高指導者の負傷という情報が確認されれば、体制の正統性や後継者問題が浮上し、内部の権力闘争が激化する可能性がある。これは戦争の帰趨に直接影響する変数だ。
国際社会、特に中国やロシアの視点から見れば、米国がイランに集中している間に生まれる地政学的な空白は、別の機会として映るかもしれない。韓国では、在韓米軍(USFK)の装備が中東に移送されているとの報道が、北朝鮮抑止力への懸念と結びついて論じられている。
日本の安全保障専門家の間でも、日米同盟の枠組みの中で日本がこの紛争にどう関与すべきか、あるいは関与を避けられるのかという問いが静かに広がっている。
記者
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