最高裁判決で変わる米中貿易戦争の行方
トランプ大統領の関税政策が最高裁で敗訴。3月末の習近平主席との会談を前に、米中関係の新たな不確実性が浮上。日本企業への影響も注目される。
20%から34%まで急騰していた中国製品への関税が、一夜にして法的根拠を失った。金曜日の最高裁判決は、ドナルド・トランプ大統領の包括的関税政策を違憲と判断し、既に複雑化していた米中関係にさらなる変数を投じている。
判決の衝撃と両国の反応
最高裁の判決に激怒したトランプ大統領は即座に反撃に出た。まず暫定的な10%の世界的関税を課し、これを15%まで引き上げると発表。同時に輸入関税の代替手段も模索すると表明した。
「中国は米国に対して数千億ドルの黒字を出していた。彼らは中国を再建し、軍隊を再建した。我々がそれを許可することで、中国の軍隊を作り上げたのだ」とトランプ大統領は記者団に語った。
一方、中国側の反応は慎重だ。中国大使館のスポークスマンは「関税と貿易戦争はどちらの国の利益にもならない」とのみコメント。習近平主席は3月31日から4月2日まで予定されているトランプ大統領との会談で、この判決を「振りかざす」ことはしないと専門家は予測している。
脆弱な貿易休戦の行方
両国は昨年10月の韓国での首脳会談後、1年間の貿易休戦に合意していた。基準関税を10%とし、トランプ大統領は所謂「フェンタニル関税」も10%まで削減。中国側はオピオイド製造に使用される化学物質の輸出規制に協力を再開した。
しかし、今回の最高裁判決は、この脆弱な均衡を揺るがす可能性がある。ワシントンのシンクタンク、スティムソンセンターの中国プログラム責任者である孫雲氏は「中国にとって道徳的な後押しにはなるが、実際には何も変わらないシナリオに備えている」と分析する。
日本への波及効果
判決は米国の他の貿易相手国にも新たな不確実性をもたらしている。特に日本への影響が注目される。高市早苗首相は3月にワシントン訪問を予定しており、この判決が日米関係にどのような影響を与えるかが焦点となる。
バイデン政権で東アジア・太平洋担当国務次官補を務めたダン・クリテンブリンク氏は「ほとんどのアジアのパートナーは慎重に進むと予想される。既存の合意は今後数週間で影響を検討する間、概ね維持されるだろう」と述べている。
トランプ政権の次の一手
専門家らは、トランプ政権が迅速に「プランB」を展開する可能性があると指摘する。米国通商代表部(USTR)は中国の過去の貿易協定遵守について調査を継続中で、これが政権の代替案となる可能性がある。
中国が協定上の義務を果たしていないと判断されれば、貿易法の下で米国政府は関税を課すことが認められている。アジア・ソサエティ政策研究所のウェンディ・カトラー副所長は、この道筋が最も現実的な選択肢だと分析している。
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