トランプ関税、最高裁判決後も15%に引き上げ
米最高裁が関税を違憲判決した直後、トランプ大統領が関税を15%に引き上げ。日本企業や世界経済への影響を分析。
1330億ドル。これは、米最高裁が「違憲」と判決を下したトランプ大統領の関税制度によって、これまでに徴収された金額です。しかし判決から24時間も経たないうちに、トランプ氏は関税率を10%から15%に引き上げると発表しました。
最高裁判決の衝撃
2月21日、米最高裁は6対3の判決で、大統領が議会の承認なしに一方的に関税を設定・変更することは違憲だと判断しました。この判決は国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づくトランプ氏の包括的関税制度を無効としたのです。
トランプ氏は判決を受けて最高裁判事らを「愚か者」「家族の恥」と激しく非難。しかし、すぐさま別の法律である1974年通商法第122条を根拠に10%の包括関税を火曜日から実施すると発表し、土曜日にはこれを15%まで引き上げました。
第122条は過去に大統領が発動したことのない条項で、議会の延長がなければ150日間の期限付きです。法的専門家らは、この新たな措置も法廷闘争に発展する可能性が高いと指摘しています。
企業と政府の混乱
判決後、1000件以上の返還訴訟が米国内の輸入業者によって提起されました。ライス大学のジョン・ダイアモンド教授は「大企業は比較的スムーズに返還を受けられるが、中小企業は困難な道のりになる」と分析します。
特に深刻なのは、既存の貿易協定を結んでいる国々の困惑です。台湾との協定では関税率を20%から15%に引き下げる代わりに、台湾が850億ドル相当の米国製品購入に合意していました。英国との協定でも10%の関税率が設定されています。
トランプ政権の通商代表ジェイミーソン・グリア氏は、これらの国々は協定で合意した高い関税率を支払い続けなければならないと述べています。一方で、協定のないブラジル(現行40%)のような国は、少なくとも一時的に15%まで関税が下がる可能性があります。
政治的な思惑
11月の中間選挙を控え、トランプ氏の経済政策への支持率は低下しています。ロイター/イプソスの世論調査では、経済政策を「支持する」と答えた人は34%にとどまり、57%が「支持しない」と回答しました。
民主党は下院で3議席を獲得すれば過半数を奪還できる状況で、トランプ氏の関税政策を「生活費上昇の原因」として攻撃を強めています。下院歳入委員会の民主党議員らは「アメリカ国民のポケットから金を盗んでいる」と批判しました。
ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は3月のトランプ氏との会談前に欧州統一の立場を調整すると表明。香港の金融担当長官クリストファー・ヒウ氏は、トランプ氏の関税措置を「大失態」と評しました。
記者
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