スロバキアがウクライナに石油輸送再開の最後通牒
スロバキアのフィツォ首相がウクライナに2日間の期限を設定、ロシア産石油輸送停止の代償として電力供給停止を警告。EU支援策にも影響か
戦時下のウクライナに対し、隣国から電力供給停止の脅しが突きつけられた。スロバキアのロベルト・フィツォ首相が土曜日、ウクライナのゼレンスキー大統領に2日間の最後通牒を発したのだ。
ドルジバパイプラインを巡る対立
フィツォ首相の要求は明確だった。月曜日までにソ連時代から続くドルジバパイプラインを通じたロシア産原油の輸送を再開しなければ、国営電力会社SEPSにウクライナへの緊急電力供給を停止するよう指示するというものだ。
このパイプラインは1月下旬、ウクライナが「ロシアのドローン攻撃によるインフラ損傷」と説明する事態により停止している。しかし、ロシアの侵攻開始から約4年が経過した今も、スロバキアと隣国ハンガリーはロシア産石油への依存を続けている現実がある。
両国は戦争を理由とするEUのロシア産石油輸入禁止政策から一時的な適用除外を受けているが、この特例措置が今回の対立の根底にある。フィツォ首相は、1月1日にロシア産ガス輸送協定が期限切れとなったことで、スロバキアが年間5億ユーロ(約589億円)の損害を被っていると主張している。
EU支援策への波及効果
事態はウクライナへの900億ユーロ(約10兆5000億円)のEU融資パッケージにまで波及している。ハンガリーのオルバン首相は金曜日、「ウクライナがドルジバパイプラインを封鎖し続ける限り、ハンガリーは900億ユーロのウクライナ戦争融資を阻止する」とFacebookで宣言した。
この融資パッケージは昨年12月にEU加盟国間で合意されたもので、法的懸念から頓挫した凍結ロシア資産活用案に代わる措置だった。スロバキア、ハンガリー、チェコの3カ国は当初反対したが、最終的に財政的影響からの保護を約束されることで妥協が成立していた。
ウクライナの苦境と反論
ウクライナにとってスロバキアからの電力供給は生命線だ。ロシアの攻撃により電力インフラが損傷を受ける中、エネルギー専門家によると、スロバキアは先月の記録的なウクライナ電力輸入量の18%を供給している。
ウクライナ外務省は土曜日、両国の「最後通牒と脅迫」を厳しく非難し、「侵略者(ロシア)の手に乗っている」と批判した。同省は、ロシア攻撃によるパイプライン損傷の情報を提供し、修復作業を進めていると説明。さらに「非ロシア産石油の代替供給ルート」も提案していると述べている。
日本から見た教訓
日本は1970年代の石油危機以降、エネルギー安全保障の重要性を痛感してきた。今回の事態は、地政学的リスクがいかに経済関係を複雑化させるかを示している。
特に注目すべきは、戦時下にあるウクライナが、支援国からエネルギー供給停止の脅威を受けているという逆説的状況だ。これは、経済的相互依存が必ずしも政治的連帯を保証しないことを浮き彫りにしている。
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