ホルムズ海峡封鎖で石油価格急騰、日本のエネルギー安全保障に警鐘
イランがホルムズ海峡を封鎖し、世界の石油供給の5分の1が停止。日本への影響と長期的なエネルギー戦略の見直しが急務に。
月曜日の朝、東京の石油商社のトレーディングルームでは異様な緊張感が漂っていた。画面に映し出される原油価格は79.40ドルを突破し、金曜日の73ドルから一気に跳ね上がった。「ホルムズ海峡が事実上封鎖された」という一報が、世界のエネルギー市場を震撼させていたのだ。
世界最重要エネルギー回廊の機能停止
イランとオマーンを隔てるホルムズ海峡は、世界の石油消費量の5分の1、天然ガスの大部分が通過する「エネルギーの生命線」だ。しかし、米国とイスラエルによるイラン攻撃を受け、イラン革命防衛隊(IRGC)の司令官は月曜日、海峡を「封鎖」し、通過を試みる船舶は「炎上させる」と宣言した。
海運情報会社Windwardの上級海事情報アナリスト、ミシェル・ボックマン氏によると、「航行量は少なくとも80%減少している」という。既に5隻のタンカーが損傷を受け、2名の乗組員が死亡、約150隻の船舶が海峡周辺で立ち往生している状況だ。
船舶追跡サービスKplerのデータでは、現在海峡を通過しているのは主にイランと主要貿易相手国である中国の船舶のみとなっている。多くの商業運航会社、大手石油会社、保険会社が事実上この回廊から撤退したためだ。
日本への直撃、代替ルートの課題
ホルムズ海峡を通過する原油の大部分はアジア向けで、中国、インド、日本、韓国が全体の約70%を占める。日本にとって、この封鎖は単なる価格上昇以上の深刻な問題を意味する。
米エネルギー情報局によると、石油以外にも航空燃料やLNG(液化天然ガス)の供給にも影響が及んでいる。欧州の航空燃料供給の30%、世界のLNG供給の5分の1がこの海峡を経由しているからだ。
企業は既に船舶の迂回を開始している。南アフリカ沖の喜望峰を回る航路への変更により、配送時間の大幅な延長と追加コストが発生している。サプライチェーン・プラットフォームOverhaulのデビッド・ワリック副社長は「戦争リスク保険と緊急時保険により、数千ドルの追加コストが発生している」と説明する。
長期化の可能性と地政学的計算
Control Risksの海事情報・セキュリティサービス部門のコーマック・マクガリー氏は、イランによる海峡の完全封鎖は「自分の首を絞めるようなもの」だと分析する。「もし船舶を攻撃すれば、湾岸諸国の参戦を促すことになり、イランにとっては大きな一歩となる」
実際、イランは2月に米・イスラエル攻撃を見越して石油輸出を数年ぶりの高水準まで押し上げていた。湾岸諸国も石油供給を前倒しで確保しており、短期的な供給問題の緩和に貢献している。
新アメリカ安全保障センターの上級客員研究員レイチェル・ジエンバ氏は「湾岸地域のエネルギーインフラへの圧力が高まり、カタールがLNG生産を予防的に停止するなど、明らかに一夜にして情勢が悪化した」と指摘する。
勝者と敗者の明暗
この混乱から利益を得る側面もある。エネルギーの純生産国である米国の石油生産業者にとって、価格上昇は恩恵となる。ジエンバ氏は「消費者部門は損失を被るが、生産者は利益を得る。問題はこれがどの程度続くかだ。この強度を長期間維持するのは困難」と分析する。
米国は中東石油への依存度を大幅に下げているものの、完全に免疫があるわけではない。ガソリン価格への影響が現れるまでには数週間かかる可能性があるが、影響は避けられない。
ワリック氏は「これは原材料調達と休暇シーズンの計画にとって最重要な時期であり、この時期の混乱はサプライチェーンにとって決して良いことではない」と懸念を示す。
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