シリア新政権がロシアと接近する理由
アサド政権を倒したシャラー大統領がプーチンと会談。ロシアの中東戦略と新シリアの実用主義外交の背景を解説。
10年以上敵対していた二人が、今やモスクワのクレムリンで握手を交わしている。シリア新大統領アハメド・シャラーとウラジーミル・プーチンの会談は、中東の地政学的バランスが根本的に変化していることを物語る。
アサド後のシリア、ロシアとの関係を模索
2024年12月にバシャール・アサド政権を打倒したシャラー大統領が、28日にモスクワでプーチン大統領と会談した。これは昨年10月に続く2回目の訪問で、シリア新政権とロシアの関係正常化が加速している。
会談前の記者会見で、シャラー大統領はロシアがシリアの統一を支援し、「地域の安定」において「歴史的」な役割を果たしたと謝意を表明。プーチン大統領も「シリアの領土的統一回復」に向けた取り組みを支持すると応じた。
しかし、この友好的な雰囲気の背景には、双方の切実な事情がある。ロシアにとってシリアは中東における唯一の軍事拠点。地中海沿岸のフメイミム空軍基地とタルトゥース海軍基地を失えば、旧ソ連圏外での軍事プレゼンスを完全に失うことになる。
実用主義を選んだシャラー政権
ロンドンのRUSI研究所のサミュエル・ラマニ氏は、ロシアが当初「反ロシア的なポピュリスト政権」の誕生を懸念していたが、「ロシア側は驚くほど好意的に受け止められている」と分析する。
シャラー大統領の外交戦略は明確に実用主義的だ。米国の政治的変動に備えて地域外大国との関係を多角化し、リスクヘッジを図っている。共和党政権は「イランを排除する限り、シリアがロシアと関係を持つことに寛容」である一方、民主党は制裁解除などで「より慎重なアプローチ」を取る傾向がある。
今月、ロシアは北東部クルド人支配地域のカミシュリ空港から撤退したと報じられ、シリア国内の軍事プレゼンスは地中海沿岸の2基地のみとなった。これは明らかな後退だが、完全撤退は免れた形だ。
変化する中東の力学
興味深いのは、シャラー大統領がアサド前大統領の引き渡しを要求しながらも、ロシアとの関係構築を優先していることだ。昨年12月にロシアに亡命したアサド夫妻の処遇は、両国関係の微妙なバランスを象徴している。
一方、トランプ政権はシリア新政権との戦略的関係構築に前向きで、今月のクルド系武装組織との戦闘では停戦仲介に乗り出した。現在、脆弱ながらも停戦が維持されている。
プーチン大統領にとって、シリアでの影響力維持は特に重要だ。今月、米軍特殊部隊によるニコラス・マドゥロベネズエラ大統領の拉致で別の盟友を失ったばかりで、残された戦略的パートナーの確保が急務となっている。
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