11カ国がイスラエルを非難、UNRWA本部破壊で国際法への挑戦
イスラエルによるUNRWA東エルサレム本部破壊に対し、日本を含む11カ国が強く非難。国際法と人道支援への影響を分析。
11カ国の外相が一斉に声を上げた。イスラエルによる国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)東エルサレム本部の破壊を「前例のない行為」として強く非難したのだ。
何が起きたのか
今年1月20日、イスラエルの議員らが立ち会う中、イスラエル軍がUNRWAの東エルサレム本部に突入し、ブルドーザーで建物の破壊を開始した。この行動に対し、ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、アイスランド、アイルランド、日本、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、英国の外相が28日、共同声明を発表した。
UNRWAのフィリップ・ラザリーニ事務局長は「国連機関とその施設に対する前例のない攻撃」だと強く抗議。イスラエルは国連加盟国として、国連施設の不可侵性を保護し尊重する義務があると指摘した。
イスラエル議会は2024年後半、イスラエルの支配地域でのUNRWAの活動を禁止する法律を可決。さらに昨年12月には、この禁止措置を強化する修正案も承認していた。
国際法廷の判決を無視
この破壊行為は、2025年10月の国際司法裁判所(ICJ)判決を真っ向から無視する形となった。ICJは当時、イスラエルに対してUNRWAへの制限を解除し、同機関の活動を促進する義務があると明確に判断していた。
裁判所は「国連はUNRWAを通じて、ガザ地区で不可欠な人道支援を提供してきた」と認定。「イスラエルには、UNRWAを含む国連とその関連機関が提供する救済計画に合意し、これを促進する義務がある」と述べていた。
しかし、イスラエル政府は具体的証拠を示すことなく、UNRWAがハマスと関係があると主張し続けている。この主張は国連側が否定しているものの、アメリカなど一部の同盟国も同様の疑念を表明してきた。
ガザの人道危機が深刻化
現在ガザでは、2023年10月以降のイスラエルによる攻撃で少なくとも71,660人のパレスチナ人が死亡している。昨年10月に発効した米国仲介の停戦合意では、イスラエルが1日600台の人道支援トラックのガザ入りを許可することになっていたが、この約束は守られていない。
11カ国の外相は「ガザに入る支援物資は増加しているものの、状況は依然として悲惨で、住民のニーズに対して供給は不十分」だと指摘した。停戦発効後も、ガザ保健省の最新データによると、少なくとも492人のパレスチナ人がイスラエルの攻撃で命を落としている。
占領地であるガザにおいて、イスラエルは国際法上、被占領住民のニーズを満たす義務を負っている。にもかかわらず、人道支援の要となるUNRWAの活動を制限し続けている現状は、この義務との矛盾を浮き彫りにしている。
日本の立場と国際社会の分裂
今回の共同声明に日本が参加したことは注目に値する。日本は伝統的に中東問題では慎重な姿勢を取ってきたが、国際法の尊重という原則に基づいて明確な立場を示した形だ。
一方で、イスラエルの最大の支援国であるアメリカがこの声明に参加していないことも象徴的だ。国際社会は人道支援と国際法の尊重を求める国々と、イスラエルの安全保障上の懸念に理解を示す国々に分かれている。
UNRWAは中東全域で数百万人のパレスチナ難民に教育、医療、社会サービスを提供する唯一の国際機関だ。その活動が制限されることで、最も影響を受けるのは一般の難民たちである。
記者
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