米SEC・CFTCが「共同規制」へ:暗号資産の新秩序
米国のSECとCFTCが正式な覚書(MOU)を締結し、暗号資産規制の一元化を目指す。企業の二重審査負担が軽減される一方、規制の境界線はどこに引かれるのか。
「どちらの規制当局に聞けばいいのか」——これは、米国で暗号資産ビジネスを展開しようとした企業が何年も抱えてきた疑問です。その答えが、ようやく形になろうとしています。
「縄張り争い」から「共同作戦」へ
2026年3月10日、米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス委員長は、フロリダ州で開催されたFIAグローバル清算市場会議において、SECと商品先物取引委員会(CFTC)が正式な覚書(MOU)の策定を進めていることを明らかにしました。
このMOUは単なる「仲良くしましょう」という宣言ではありません。アトキンス委員長によれば、具体的な内容として、製品申請・規則解釈・執行判断・規制対象企業への検査において両機関が合同で対応する仕組みが盛り込まれます。さらに、企業が両機関に対して協調的な協議を申請できる「ハーモナイゼーション(調和化)」ウェブサイトも新設されます。
「製品が両方の規制枠組みに関わる場合、企業は規制当局の間をたらい回しにされるべきではない」とアトキンス委員長は述べました。「どちらの機関が先に発言するかによって、規制の明確性が左右されるべきでもない」
CFTCのマイク・セリグ委員長も同日、両機関が「プロジェクト・クリプト」と呼ばれる共同イニシアチブを立ち上げ、縄張り争いを終わらせることを宣言しました。
なぜ今なのか——長年の対立の歴史
SECとCFTCの対立は、暗号資産業界にとって長年の「頭痛の種」でした。SECは証券とその取引所を監督し、CFTCはデリバティブ市場を含む商品市場を監督します。しかし、ビットコインやイーサリアムなどのデジタル資産が「証券なのか商品なのか」という問いに対して、明確な法的定義は長らく存在しませんでした。
この曖昧さを利用して、SECは前ゲンスラー委員長時代に積極的な執行活動を展開。一方でCFTCはより親暗号資産的な姿勢を示すことが多く、両機関の方向性の違いが業界の混乱を招いていました。
トランプ大統領が任命した新たな両機関のトップが就任して以来、状況は一変しました。暗号資産に友好的な政策が最優先事項として位置づけられ、今回のMOUはその流れの中で生まれた「制度的な結実」といえます。
企業への実務的影響——「二重検査」からの解放
今回の協調体制で特に注目されるのは、規制検査(エグザミネーション)の合同化です。現状では、両機関の規制対象となる企業は、それぞれから別々に検査を受けるケースがあります。アトキンス委員長はこれを「標準的な慣行」として合同化する方針を示しました。
「二重規制対象の事業体に対する検査計画の調整は、標準的な慣行になるべきだ」と彼は述べています。「監督上の発見事項を、守秘義務の保証を前提に共有することは、例外ではなく規範となるべきだ」
また、アトキンス委員長は「スーパーアプリ」構想にも言及しました。ユーザーが両機関の管轄にまたがる金融サービスを、一つのシームレスなインターフェースで利用できる仕組みを整備する意向を示しており、これはDeFi(分散型金融)や統合型金融プラットフォームの規制上の位置づけに直接関わります。
日本市場への視点
日本の暗号資産業界にとって、この動きは無縁ではありません。SBIグループやmonexグループなど、米国市場に関わる日本の金融機関は、これまで米国の規制の不明確さに対応するためのコスト負担を強いられてきました。規制の一元化が進めば、米国市場への参入障壁が下がる可能性があります。
さらに、日本の金融庁(FSA)は独自の暗号資産規制体系を持っており、米国の「調和化」モデルが国際的な規制標準として影響力を持つようになれば、日本の規制枠組みとの整合性をどう図るかが課題になるかもしれません。
一方、CFTCがDeFiソフトウェア提供者の登録義務の明確化や、レバレッジ・証拠金付き暗号資産スポット取引のルール更新を進めていることも注目点です。日本では既に暗号資産デリバティブ取引に厳格な規制が存在しており、米国の動向が日本の規制見直し議論に影響を与える可能性があります。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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