太陽はどこへ行く?科学否定が生む新たな暗黒時代
トランプ政権の気候変動否定から見える、科学的事実を拒否する社会の危険性と、それが私たちの未来にもたらす影響を考察
夜になると太陽がどこに行くのか、私たちは知らないことになった。
トランプ大統領は木曜日、気候変動が人間の健康と環境を脅かすという科学的知見を消去し、地球を危険なほど加熱させている汚染を制御する連邦政府の法的権限を終了させると発表した。この決定を受けて、新たな政権ルールでは、太陽が夜に消える理由も「わからない」ことになったという。
科学者たちの新しい任務
残った政府の科学者たちは全員、元のポジションから外され、この「差し迫った問題」の解明に専念することになった。国立衛生研究所のすべての会議室のホワイトボードが、太陽の行方を探る作業に充てられている。
大統領執務室では、金箔の下で大統領と顧問たちが可能性のリストを作成中だ。太陽は大きなフンコロガシの背中にあるかもしれない。魔女が持ち去っているかもしれない。移民が夜に盗んでいるかもしれない。マクロン大統領が引き出しにしまっているかもしれない。
この風刺的な描写は、実際の政策決定がいかに非科学的で恣意的になっているかを浮き彫りにする。
「知らない」ことを選択する社会
最も恐ろしいのは、知っていることを「知らない」と決めることができるという現実だ。進歩を忘れることを選択できる。病気の原因を瘴気や悪霊のせいにできる。石炭と魔女と本を再び燃やすことができる。
日本でも似たような現象が見られる。福島原発事故後の科学的データに対する不信、コロナワクチンへの懐疑論、気候変動対策への消極的姿勢。科学的コンセンサスよりも政治的便宜や感情的反応が優先される場面が増えている。
文明の退行という選択肢
記事は「本を燃やすことを忘れるな」と警告する。知識の破壊は、常に暗黒時代の前兆だった。現代の「本焼き」は、データベースの削除、研究予算の削減、科学者の解雇という形で行われる。
ガリレオが地動説を唱えたとき、教会は科学を否定した。今度は、気候変動という科学的事実を政治が否定している。歴史は繰り返すのか、それとも私たちは学習できるのか。
日本の科学技術立国としてのアイデンティティも、この世界的な反知性主義の波の中で試されている。理研や産総研などの研究機関への予算削減、若手研究者の雇用不安定化は、日本版の「科学否定」と言えるかもしれない。
記者
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