「メルコニ」時代の到来:独伊同盟がEUの勢力図を塗り替える
ドイツのメルツ首相とイタリアのメローニ首相による新たな同盟が、EU政治の重心を移動させている。その背景と日本への影響を分析。
10年前、誰がドイツの保守派政治家とイタリアの右派首相が手を組み、ヨーロッパの未来を決める中心的存在になると予想しただろうか。
しかし、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相とイタリアのジョルジャ・メローニ首相による実用主義的な同盟「メルコニ」が、静かにヨーロッパの権力バランスを再定義している。2026年2月12日に開催される非公式EU首脳会議で、両首脳はEUの競争力向上を求める共同政策文書を各国に提示する予定だ。
「メルクロン」時代の終焉
戦後のヨーロッパ政治は、フランスとドイツという2大経済大国を中心に回転してきた。イギリスのEU離脱後の約10年間、ヨーロッパはドイツのアンゲラ・メルケルとフランスのエマニュエル・マクロンによる「メルクロン」軸を中心に動いていた。
メルケルの慎重な実用主義とマクロンのカリスマ的なヨーロッパ理想主義の組み合わせは、ブレグジット、トランプ政権、パンデミックを乗り切る原動力となった。
しかし時代は変わった。メルケルは2021年12月に首相を退任し、マクロンは国内政治で苦戦を強いられている。外交官やジャーナリストは彼を「ヨーロッパのカサンドラ」と表現する。世界情勢への警告は正しいが、国内外で支持を結集する力が衰えているのだ。
意外な組み合わせの誕生
この空白に登場したのが、メルツとメローニだ。一見すると、この組み合わせは奇妙に見える。
メルツは保守的な大西洋主義者で、明確な経済自由主義者だ。彼の2008年の著書タイトル「より多くの資本主義を敢行せよ」は、メルケル時代の慎重な中道路線からの脱却を示している。ドイツの軍事力再建を主張する点も、数十年にわたるドイツ国内とEU全体の軍事的慎重論からの転換を意味する。
一方、メローニはイタリアの民族主義右派から台頭した。彼女の所属政党「イタリアの同胞」は、ムッソリーニのファシスト残党にルーツを持つ。しかし政権に就くと、彼女は政治的機敏さを発揮し、責任ある成功したヨーロッパの政治家として自らを再定位した。
批評家は彼女を「日和見主義」と呼び、支持者は「実用主義」と評価する。いずれにせよ、メローニは政治的変身術を習得し、民族主義と主流派ヨーロッパの橋渡し役となった。
必要性が生んだ同盟
メルツとメローニを結びつけるのは、イデオロギーよりも必要性だ。
ドイツはヨーロッパの経済エンジンであり続けているが、防衛力と経済競争力の向上に向けてヨーロッパを押し進めるパートナーが必要だ。イタリアはヨーロッパの中核でより大きな影響力と信頼性を求めている。
両政府は現在、戦略的自律の言語を話している。アメリカが信頼できなくなっても、ヨーロッパは自らを守り、利益を保護できなければならない。共同文書では「現在の道を続けることは選択肢ではない。ヨーロッパは今行動しなければならない」と述べられている。
防衛と軍事化への転換
最も劇的な変化は、おそらくドイツで起きている。数十年間、ベルリンは歴史に悩まされ、アメリカの安全保障に守られながら軍事的指導力を避けてきた。その時代は終わりつつある。
メルツは2025年9月、モスクワの継続的な侵略をヨーロッパの安全保障と統一への直接的な攻撃として位置づけ、「我々は戦争状態ではないが、もはや平和でもない」と述べた。
新しいドイツ・イタリア行動計画は、防衛、サイバーセキュリティ、戦略的産業での協力を明示的に強化している。ローマは、ドイツの軍需企業ラインメタルとの最大240億ドル(200億ユーロ)規模の大型調達契約を計画していると報じられている。数百台の装甲車両と新世代戦車を含むこの契約は、ヨーロッパ最大級の共同防衛プロジェクトの一つとなる。
各国の思惑
メローニにとって、ベルリンとの提携は正統性をもたらす。イタリアは伝統的にヨーロッパの指導力と周辺的な不満の間を揺れ動いてきた。ドイツと連携することで、ローマはヨーロッパの意思決定の中核に復帰する。
同時に、メローニは国内では民族主義者として、ヨーロッパには不可欠な存在として自らを位置づけることができる。彼女の政治的立場により、EU合意の内部に留まりながらワシントンとのチャンネルを維持するという、他のヨーロッパ指導者にはできない綱渡りが可能になっている。
一方、ドイツは政治的柔軟性と、EU政治の大局により整合したパートナーを得る。マクロンの野心的な連邦主義ビジョンは、時として慎重な加盟国を疎外してきた。イタリアは、壮大なヨーロッパ再設計よりも競争力、移民管理、産業政策に焦点を当てた実用的なカウンターウェイトを提供する。
日本への示唆
この新たなヨーロッパの権力構造は、日本にとって重要な意味を持つ。トヨタやソニーなどの日本企業にとって、EUの防衛産業強化と戦略的自律の追求は、新たなビジネス機会と課題の両方をもたらす可能性がある。
特に、ヨーロッパの軍事技術開発への参加や、サイバーセキュリティ分野での協力拡大は、日本の技術力を活かす新たな分野となり得る。一方で、EUの「戦略的自律」追求は、対中政策における日米欧の連携に微妙な影響を与える可能性もある。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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