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キューバのニッケルをめぐる、90マイルの地政学
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キューバのニッケルをめぐる、90マイルの地政学

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トランプ政権がキューバのニッケル・コバルト産業に新制裁を発動。カナダ企業シェリットが撤退し、米国系資本が参入を狙う。重要鉱物をめぐる米中対立の最前線が、フロリダ沖90マイルに浮かび上がる。

冷戦が終わって30年以上が経つ。だがキューバ東部の赤い大地は、いまも世界の覇権争いの舞台となっている。

「革命の戦利品」が再び動き出す

1960年、フィデル・カストロ率いる革命政府はキューバ島内の米国系企業を次々と接収した。その中に、世界有数のニッケル・コバルト鉱床の上に建つ2つの精錬所があった。ニッケルは航空機エンジンや装甲板に欠かせない素材として、第二次世界大戦中に米国が戦略的確保を目的に取得したものだ。革命後、ソ連の技術者がこれらの施設を立て直し、キューバ経済の柱として機能させた。ソ連崩壊後は、カナダの資源企業 シェリット・インターナショナル1994年にキューバ国営企業と合弁事業を組み、鉱石の採掘から精製、国際市場への販売までを担ってきた。

その構図が、2026年5月に大きく揺らいだ。トランプ 政権が署名した大統領令が、キューバと取引する企業への制裁を大幅に強化。イラン・ロシア・北朝鮮に近い水準の包括的禁輸措置へと格上げされたのだ。これを受けて シェリット は、キューバ国営企業との合弁「モア・ニッケル」を解消すると発表した。後に「解消」は「停止」に修正されたが、同社は経営権をテキサス州の投資会社 ギロン・キャピタル に売却する交渉に入ったことも明らかにした。ギロン は第1次トランプ政権で要職を務めた不動産業者レイ・ワッシュバーンの一族が経営する会社で、米国務省・財務省の承認を得ているとされる。

なぜ「今」キューバのニッケルなのか

この動きは、単なる対キューバ外交圧力にとどまらない。重要鉱物をめぐる米中の覇権争い という、より大きな文脈の中に位置づけられる。

ニッケルとコバルトは、スマートフォンから電気自動車の電池まで、現代の製造業に不可欠な素材だ。現在、中国 はこれらの鉱物のサプライチェーンで圧倒的な優位を持ち、市場価格を事実上コントロールしている。トランプ政権は制裁・関税・輸出規制を組み合わせ、ラテンアメリカ・アフリカ・東南アジアの資源国に「中国ではなく米国と組め」と迫っている。キューバのモア鉱山地帯にはシェリット推計で約24年分の埋蔵量が残っており、これを米国系資本の手に戻すことは、その戦略の一環だ。

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内務長官 ダグ・バーガム は「キューバとの重要鉱物パートナーシップを通じ、米国とキューバ双方の国民に経済的機会をもたらしたい」と述べる一方で、「現政権が権力を握り続ける限り、キューバの経済軌道は変わらない」とも付け加えた。制裁と懐柔を組み合わせた、典型的な「アメとムチ」の構図だ。

CIA長官 ジョン・ラトクリフ がハバナを電撃訪問し、「米国の脅しは本気だ」と伝えたのも、この文脈でのことだ。ベネズエラの マドゥロ 政権を事実上崩壊させた手法が、今度はキューバに向けられている。米空母 ニミッツ がカリブ海に展開していることも、その圧力の一部だ。

日本企業にとっての遠くて近い問題

キューバは遠い。しかしニッケルとコバルトは、日本の製造業と無縁ではない。

トヨタホンダ が開発を急ぐ電気自動車の電池にはコバルトが使われ、ソニーパナソニック の電池セルにもニッケルが欠かせない。現在これらの多くは中国経由で調達されており、日本の産業界もサプライチェーンの分散を模索している。もし米国がキューバのニッケル鉱山を実質的に「西側陣営」のサプライチェーンに組み込むことに成功すれば、日本企業にとって新たな調達先の選択肢が生まれる可能性はある。

だが問題は単純ではない。キューバが米国の圧力に屈服せず、逆に中国やロシアに鉱山の権益を提供した場合、中国の支配はさらに強まる。テキサス州立大学の政治学者 ディエゴ・フォン・バカーノ 氏はこう警告する。「これは中国とロシアが再び踏み込む絶好の機会だ。」

米国がカナダ企業を圧迫してキューバ政府を追い詰めようとした結果、中国の影響力を逆に拡大させてしまう——そのシナリオは、日本を含む西側諸国にとっても無視できないリスクだ。

本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。

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