トランプ関税、最高裁が違法判決―共和党内分裂が浮き彫りに
米最高裁がトランプ大統領の関税を違法と判断。共和党判事の半数が反対に回り、党内の深刻な分裂が明らかになった。日本企業への影響と今後の展望を分析。
6人の判事が違法と結論づけた。アメリカ最高裁が金曜日に下したLearning Resources v. Trump事件の判決は、ドナルド・トランプ大統領が課した幅広い関税の違法性を認定した。
興味深いのは、共和党出身のジョン・ロバーツ最高裁長官が主導意見を執筆し、同じく共和党のニール・ゴーサッチ判事とエイミー・コニー・バレット判事が賛同したことだ。民主党系3人の判事も結論には同意したが、新たな司法権力拡大論に関する7ページの部分には署名を拒んだ。
「規制」は「課税」を意味しない
ロバーツ長官の判決文は、関税を違法とする2つの根拠を示している。まず、連邦法の解釈に基づく議論だ。
トランプ政権は国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に関税賦課権限を主張した。同法は大統領に「輸入または輸出を規制する」権限を与えている。しかし、ロバーツ長官は「規制」という言葉が「確立、統制、調整」を意味するものの、「課税」の権限は含まないと明確に述べた。
判決文によると、連邦法には「規制」権限を付与する法律が数多く存在するが、トランプ側の弁護士は「規制する権限に課税権限が含まれる法律を一つも特定できなかった」。つまり、IEEPAを使って輸入税を課すことはできない、ということだ。
共和党内の深刻な分裂
この判決で最も注目すべきは、共和党判事の間に生じた分裂だ。通常、共和党系判事はトランプに対して寛容な姿勢を示してきた。実際、この最高裁は「大統領は職権を使って犯罪を犯すことができる」という判決さえ下している。
しかし、関税問題は共和党内部でも意見が分かれる分野だ。昨年春のフェデラリスト・ソサエティの会議では、この保守系法律団体が主催したイベントで複数の講演者が関税に反対を表明した。関税に異議を申し立てた主要弁護士の一人は、ジョージ・W・ブッシュ政権時代に連邦控訴裁判所判事に任命されたマイケル・マコーネル氏だった。
「重大問題原則」をめぐる攻防
ロバーツ長官は関税違法の根拠として、2014年に初めて言及された「重大問題原則」も挙げた。この原則は、政府が野心的な政策を実行しようとする際、議会が明確に権限を付与していない限り、裁判所は懐疑的に判断すべきだとするものだ。
これまでこの原則はジョー・バイデン前大統領の政策にのみ適用されてきたため、多くの法律専門家は「民主党政権を妨害するための恣意的な手段」と批判していた。
今回、民主党系判事は「通常の法解釈手法で十分に結論を導ける」として、この原則の適用部分には署名しなかった。エレナ・ケイガン判事は別途意見書で、この立場を明確にしている。
日本企業への影響と今後の展望
今回の判決は、日本企業にとって複雑な意味を持つ。トヨタやソニー、任天堂などアメリカ市場に大きく依存する企業にとって、関税撤廃は短期的には朗報だ。しかし、トランプ政権は他の法律を根拠に関税を再導入する可能性が高い。
実際、ロバーツ長官も判決文で、大統領により明確な関税賦課権限を与える他の法律が存在することを認めている。ただし、それらの法律には制限がある。例えば、ある法律では15%以下、150日以内という制限が設けられている。
記者
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