トランプ政権のベネズエラ石油封鎖、真の狙いは「マドゥロ政権転覆」か 民主党有力議員が指摘

米国のベネズエラに対する強硬な石油封鎖措置は、公式に掲げる目的以上に、ニコラス・マドゥロ大統領の政権転覆を狙ったものである――。米下院軍事委員会の民主党トップ、アダム・スミス議員がこのような見解を示し、トランプ政権の対ベネズエラ政策の真意を巡る議論が再燃しています。

米国は長年、ベネズエラのマドゥロ政権を非民主的であると批判し、経済制裁を段階的に強化してきました。特に国営石油会社PDVSAを対象とした制裁は、同国の主要な外貨獲得手段を断つことで、政権に圧力をかけることを目的としています。トランプ政権は、これらの措置が「ベネズエラの民主主義を回復するため」であると公式に説明しています。

スミス議員は、この公式見解に異を唱える形で、「（封鎖は）何よりもマドゥロ大統領を権力の座から引きずり下ろすことが目的だ」と指摘。外交や人権問題の解決というより、政権交代そのものが最優先事項になっているとの認識を示しました。軍事委員会の民主党トップという立場の議員による発言は、議会内でも対外強硬策への懸念が根強いことを示唆しています。

この指摘は、経済制裁を外交ツールとして用いることの有効性と倫理性を巡る、より大きな議論を浮き彫りにします。制裁が対象国の経済全体に深刻な影響を与え、一般市民を苦しめる一方で、必ずしも指導者の行動変容や政権交代につながるとは限らないためです。スミス議員の発言は、武力介入によらない「最大限の圧力」戦略が、実際にはどのような結果を目指しているのか、改めて問いかけるものと言えるでしょう。