トランプ政権、国家安全保障を理由に洋上風力発電5事業を緊急停止
トランプ米政権が、国防総省の「機密報告書」で指摘された国家安全保障上のリスクを理由に、大西洋沿岸の主要な洋上風力発電プロジェクト5件を緊急停止。業界や関係州から反発が広がっています。
トランプ政権の内務省は12月22日、国家安全保障上のリスクを理由に、大西洋で計画されている5つの大規模な洋上風力発電プロジェクトのリース(認可)を「即時発効」で停止すると発表しました。この動きは、風力発電に長年反対してきたトランプ大統領の姿勢を反映しており、米国の再生可能エネルギー産業の将来に新たな不確実性をもたらしています。
内務省によると、今回の措置は国防総省が最近完了した「機密」報告書で「国家安全保障上のリスク」が特定されたことを受けたもの。停止期間中、政府機関は「リース保有者や州のパートナーと協力し、これらのプロジェクトがもたらす国家安全保障上のリスクを軽減する可能性を評価する」としています。しかし、リスクの具体的な内容については明らかにされていません。
「高価で信頼性が低く、多額の補助金に頼る洋上風力発電所だ。天然ガスパイプライン1本で、これら5つのプロジェクトを合わせたエネルギーを供給できる」
内務省のダグ・バーガム長官は自身のX(旧ツイッター)で、安全保障上の懸念だけでなく、経済的な問題も指摘し、プロジェクトを厳しく批判しました。
停止された主要プロジェクト - 対象: 大西洋沿岸で数百万世帯への電力供給を担う5つのプロジェクト。 - 具体例: バージニア州沖の「Coastal Virginia Offshore Wind (CVOW)」、マサチューセッツ州沖の「Vineyard Wind」、ロードアイランド州沖の「Revolution Wind」、ニューヨーク州周辺の「Sunrise」と「Empire」。 - 影響: CVOWを運営するドミニオン・エナジー社は、90日間の作業中断を命じられたと発表しました。
ドミニオン・エナジー社は、CVOWプロジェクトが「10年以上にわたり、軍と緊密に連携して進められてきた」と反論。また、タービンの基礎部分は2025年10月にすべて設置済みであるとし、プロジェクトの停止は「エネルギー価格の高騰と数千人規模の雇用喪失につながる」と警告しています。
この決定に対し、環境保護基金の主任弁護士テッド・ケリー氏は「安価で国産の電力がさらに必要とされている時に、米国最大の再生可能エネルギー源を妨害すべきではない」と批判。ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事も、影響を受ける他の州と協力し、「プロジェクトを軌道に戻すためのあらゆる選択肢を検討している」とXで表明しました。このニュースを受け、22日の株式市場ではドミニオン・エナジーの株価が約4.5%、Revolution Windに関わるデンマークのエネルギー大手オーステッドの株価は11%下落しました。
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