イラン最高指導者殺害でインド全土に抗議デモ拡散
ハメネイ師殺害を受けインド各地で反米・反イスラエルデモが発生。カシミール州政府は冷静対応を呼びかけ、地域の宗教的結束と地政学的影響が浮き彫りに。
土曜日の米イスラエル合同空爆によるイラン最高指導者アリ・ハメネイ師の殺害を受け、インド全土で抗議デモが拡散している。日曜日には数千人規模のデモ隊が各都市の街頭に繰り出し、反米・反イスラエルのスローガンを叫び続けた。
広がる抗議の波
イラン国営テレビは日曜日早朝、黒い喪章で縁取られたアーカイブ映像とともにハメネイ師の死亡を発表した。イランメディアによると、攻撃では師の娘、義理の息子、孫娘も犠牲となったという。
デリー、ハイデラバード、ジャンムなど主要都市でデモが発生し、ジャンム・カシミール州のオマル・アブドゥラ首相は「イランの状況を深く憂慮している」と表明。デモ参加者に冷静さを保ち「緊張や騒乱につながる行動を避ける」よう呼びかけた。
特にカシミール地域では、インド・パキスタン軍事監視団(UNMOGIP)事務所前で抗議行動が展開され、インド軍兵士がデモ隊の制止にあたる場面も見られた。
宗教的連帯と地政学的計算
インドでは人口の14.2%にあたる約2億人のイスラム教徒が暮らしており、今回のデモはシーア派とスンニ派を超えた宗教的連帯の表れとも解釈できる。しかし、その背景にはより複雑な地政学的要因が潜んでいる。
モディ政権はイランとの経済関係を重視する一方、イスラエルとの防衛協力も深化させてきた。インドはイランから年間約200億ドル相当の原油を輸入しており、チャバハル港開発プロジェクトでも協力関係にある。
一方で、インドの対イスラエル軍事貿易額は30億ドルを超え、防空システムや無人機技術で密接な関係を築いている。今回の事態は、この微妙なバランス外交に新たな試練をもたらしている。
アブドゥラ首相の苦悩
カシミール州のオマル・アブドゥラ首相の「冷静対応」呼びかけは、単なる治安維持を超えた政治的配慮を含んでいる。カシミールは印パ両国が領有権を争う敏感な地域であり、宗教的感情の高まりが分離主義運動に利用される可能性を懸念している。
同時に、アブドゥラ首相は地域住民の宗教的感情を無視することもできない。1989年以降のカシミール紛争で多くの犠牲者を出した地域では、反米・反イスラエル感情が根強く残っている。
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