レアアース争奪戦:韓国POSCOが描く「中国なき供給網」
POSCOインターナショナルが重希土類の独自サプライチェーン構築を発表。東南アジア・米国への投資戦略が、日本の自動車・電機メーカーに何を示唆するか。
あなたが乗る次の電気自動車のモーターに使われる素材は、今この瞬間、どの国が握っているのでしょうか。
POSCOが動いた:数字で読む投資の全貌
韓国の鉄鋼大手POSCOホールディングスの商社部門、POSCOインターナショナルは2026年3月23日、重希土類元素のグローバルサプライチェーン構築計画を発表しました。その規模と地理的広がりは、単なる一企業の投資戦略を超えた意味を持っています。
まず国内では、POSCOインベストメントと共同で250億ウォン(約16億円)のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンドを設立。韓国国内の希土類精製企業に80億ウォンを先行投資します。次に東南アジアでは、マレーシアのパートナー企業と3,000万ドルの合弁精製プロジェクトを立ち上げ、ラオスでも別の精製事業に参画します。これにより東南アジアから年間約4,500トンの精製希土類を確保し、将来的には年間1万トン超への拡大を目指します。
さらに米国では、鉱物企業ReElement Technologiesと組み、年産3,000トンの希土類精製工場を建設(2027年生産開始予定)。加えて年産3,000トンの永久磁石製造施設を2028年までに米国内に設ける計画です。
これらの投資が狙うのは、EV(電気自動車)モーターに使われる高性能永久磁石に不可欠なジスプロシウムとテルビウムという2つの重希土類元素です。
なぜ今なのか:地政学と産業構造の交差点
レアアースの生産と精製が「一部の国」に集中しているという構造的リスクは、今に始まった話ではありません。中国は世界の希土類精製能力の約85〜90%を握っているとされ、この依存度はEVシフトが加速するほど安全保障上の脆弱性として浮き彫りになってきました。
トランプ政権が再登場した2025年以降、米国は重要鉱物の国内調達・同盟国調達を強く推進しています。POSCOが米国内に精製・磁石製造拠点を設けることは、この政策的文脈と完全に一致しています。昨年、POSCOホールディングスがオーストラリアのリチウム鉱山とアルゼンチンのリチウムブライン事業に合計1.1兆ウォンを投じたことと合わせて見ると、同社が「電池材料から磁石材料まで」を自前で押さえようとする大きな絵が見えてきます。
タイミングもまた意味深です。中国は2025年末から希土類の輸出規制を段階的に強化しており、グローバルサプライチェーンへの圧力は現実のものになりつつあります。
日本企業への問い:傍観者でいられるか
ここで日本の読者に考えていただきたいことがあります。トヨタ、ホンダ、日産といった日本の自動車メーカーも、EV向け永久磁石モーターに同じ素材を必要としています。日立製作所やTDKなど磁石メーカーも同様です。
日本もレアアース確保に無策だったわけではありません。2010年の中国によるレアアース輸出規制をきっかけに、日本はJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)を通じてカザフスタンやカナダなど多様な調達先の開拓を進めてきました。しかし精製・加工の段階では、依然として中国依存が根強く残っています。
POSCOが東南アジアと米国に精製ネットワークを構築することは、韓国系EV部品メーカーへの安定供給を優先的に確保することを意味します。日本企業が同様の独自ルートを持たなければ、素材調達コストや供給安定性で競争上の不利を被る可能性があります。一方で、POSCOのネットワークを活用する形での協業という選択肢も存在します。競争か、協調か。その判断を迫られる局面が近づいています。
東南アジアという選択の意味
マレーシアとラオスという選択も興味深い点です。マレーシアはかつてリナス(Lynas)というオーストラリア企業が希土類精製工場を運営し、中国以外の精製拠点として注目された国です。ラオスはメコン地域の地政学的要衝であり、中国の経済的影響圏に深く組み込まれています。
ラオスでの精製事業が中国の影響力とどう折り合いをつけるのか、あるいは意図的に「中国の裏庭」で代替ルートを作ろうとしているのか。その地政学的含意は、単純ではありません。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
関連記事
20年以上の外交経験を持つウィリアム・クライン氏が、北京、台湾、そしてワシントンの視点から米中関係の複雑な現実を読み解く。日本の安全保障と経済に直結する問題を多角的に考察。
イスラエル人入植者がパレスチナ人の村々を襲撃。18歳の入植者の死を契機に、ヨルダン川西岸で20件以上の暴力事件が一夜にして発生した。その背景と国際社会への影響を読み解く。
2026年3月、ルイジアナ州バークスデール空軍基地がドローン群に繰り返し侵入され、対イラン作戦が一時停止。米本土の防空の盲点と、その背後に見え隠れする中国の影を読み解く。
中国のASN-301対レーダードローンはイランのシャヘド136を超える精密性と量産能力を持つ。台湾有事や西太平洋での防空網飽和攻撃の脅威を多角的に分析する。
意見
この記事についてあなたの考えを共有してください
ログインして会話に参加