Perplexity、月額2万8千円の「コンピューター」で何を狙うのか
Perplexityが最上位プランで提供開始したAIエージェント「Computer」。19のAIモデルを統合し、複雑なワークフローを自動実行する新ツールの真意とは。
Perplexityが月額200ドル(約2万8千円)という高額なサブスクリプションプランで提供を始めた新ツール「Perplexity Computer」。一体何がそれほど特別なのでしょうか。
19のAIモデルを統合する「コンピューター」
Perplexity Computerは、同社が「すべての現在のAI機能を単一システムに統合した」と説明するAIエージェントです。19の異なるAIモデルを活用し、複雑なワークフローを独立して実行できるだけでなく、特定の問題に対処するためのサブエージェントまで作成します。
統計収集、財務・法務データの分析、完成したウェブサイトや視覚化資料の作成まで、従来なら人間が複数のステップに分けて行っていた作業を、このツールが一貫して処理します。クラウド上で完全に動作するため、OpenClawのような他のエージェントツールが抱えるセキュリティ懸念も回避できるとしています。
ただし、製品発表前の記者説明会では、製品の欠陥が発見されたためデモンストレーションがキャンセルされるという出来事もありました。
検索エンジンから「GDP規模の意思決定」支援へ
Perplexityは当初、最先端のAIモデルを検索エンジンのような使い慣れたインターフェースで提供することで注目を集めました。その後、昨夏にはCometウェブブラウザーを発表。しかし今、Googleなどの競合他社がPerplexityに似た製品を展開し始めています。
競争激化への対応として、同社は戦略を大きく転換しています。昨年末には広告事業を廃止。「ユーザーの回答の正確性への信頼を損なう」との理由でした。そして今、同社幹部は「GDP規模の意思決定」を行う人々向けの、よりブティック的なユーザー層を目指すと明言しています。
「私たちは月間アクティブユーザー数について話すことはありません。できるだけ多くのユーザーを獲得することが使命ではないからです」と、ある幹部は語りました。
マルチモデル戦略の真価
興味深いのは、Perplexityのユーザーが用途に応じてモデルを使い分けている実態です。2025年12月のデータによると、視覚的な出力にはGemini Flash、ソフトウェアエンジニアリングにはClaude Sonnet 4.5、医学研究にはGPT-5.1が最も多く使われています。
「マルチモデルが未来です」と同社幹部は主張します。モデルは汎用化ではなく、むしろ専門化の方向に進んでいるという見解です。コーディングが得意なLLMとマーケティング文書作成に優れたLLMがあるなら、Perplexityのソフトウェアが自動的に最適なものを選択します。
同社は複数のモデルに同時にクエリを送信する「Model Council」機能も提供していますが、定額サブスクリプションで複数のクエリを提供する単位経済学については、まだ不透明な部分があります。
日本企業への示唆
Perplexityの戦略転換は、日本企業にとって重要な示唆を含んでいます。同社が目指す「GDP規模の意思決定」支援というポジショニングは、トヨタの生産管理システムやソニーの研究開発プロセスのような、企業の中核業務にAIを統合する方向性と合致します。
特に、日本の製造業が直面する労働力不足や技術継承の課題において、複雑なワークフローを自動化できるAIエージェントは、単なる効率化ツールを超えた戦略的価値を持つ可能性があります。
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