トランプ政権、韓国に「自主防衛」を要求へ
米国防総省が新戦略で韓国の「主要責任」を明記。コルビー国防次官の訪韓が示す同盟関係の転換点とは。
73年間続いた米韓同盟が、大きな転換点を迎えている。米国防総省は1月24日、エルブリッジ・コルビー国防政策担当次官が韓国と日本を訪問すると発表した。この訪問は、前日に発表された新国防戦略(NDS)の説明が主目的だが、その内容は韓国にとって衝撃的だった。
新戦略は、韓国が北朝鮮抑止の「主要責任」を担い、米国は「重要だが限定的な」支援に留まるべきだと明記している。これは、朝鮮戦争以来続いてきた米軍主導の防衛体制からの根本的な転換を意味する。
トランプの「力による平和」の真意
ドナルド・トランプ大統領の「力による平和」政策の核心は、同盟国の「負担分担」拡大にある。ピート・ヘグセス国防長官は昨年5月、コルビー次官に対し、中国脅威への対処と同盟国の負担分担を優先する新戦略の策定を指示していた。
コルビー次官は3日間の韓国滞在中、韓国の原子力潜水艦建造計画や戦時作戦統制権の早期移管、国防費増額などについて協議する予定だ。これらはすべて、韓国の自主防衛能力強化に直結する議題である。
韓国の国防費は現在、GDP比で2.8%程度だが、米国はさらなる増額を求めている。北朝鮮の核・ミサイル脅威が高まる中、韓国は米軍依存から脱却し、独自の抑止力構築を迫られている。
日本への波及効果
今回の戦略転換は、日本にも重要な示唆を与える。米国が韓国に自主防衛を求める以上、日本に対しても同様の圧力が高まる可能性が高い。
日本は既に防衛費をGDP比2%まで引き上げる方針を決定しているが、米国はさらなる役割拡大を期待している。特に、中国の台湾侵攻に備えた南西諸島の防衛体制強化や、米軍との一体的な作戦能力の向上が求められるだろう。
岸田文雄政権が進める「反撃能力」の保有も、この文脈で理解できる。米国は同盟国が独自の抑止力を持つことで、中国に対する多層的な抑止体制を構築しようとしている。
中国の視点と地域バランス
中国から見れば、米国の戦略転換は両刃の剣だ。一方で米軍のプレゼンス縮小は歓迎すべき変化だが、韓国と日本の軍事力強化は新たな脅威となる。
特に韓国の原子力潜水艦保有は、中国の海軍戦略に大きな影響を与える。現在、中国は12隻の戦略原潜を保有しているが、韓国が高性能な攻撃型原潜を配備すれば、黄海と東シナ海での中国の行動に制約が生じる。
北朝鮮も複雑な立場に置かれる。米軍の役割縮小は歓迎すべきだが、韓国の独自防衛力強化は直接的な脅威となる。金正恩政権は、核・ミサイル開発をさらに加速させる可能性が高い。
記者
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